広島市民球場(中区)の跡地利用計画をめぐり、市議会定例会は26日の本会議で、新年度一般会計当初予算案から計画関連費の一部を削除する修正案を賛成多数で可決した。折り鶴展示施設をシンボルにした計画に議会が待ったをかけた。今秋の球場解体が遅れる可能性もあり、都心の再生事業に影響が出そうだ。
修正案は最大会派の自民新政ク、政和ク、公明、爽志会の4会派に所属する議員が提案。関連予算約4600万円のうち、一部保存する球場スタンドの耐震診断経費などは残し、計画の具体化の検討を進める費用約1900万円を削除した。
議長を除く54人で採決した結果、修正案に賛成が31人、反対が23人だった。これまでの審議では、折り鶴展示施設(折り鶴ホール)について「必要性が分かりにくい」との異論が強く、集客効果への疑問も相次いだ。
秋葉市長は、定例会閉会後の記者会見で「計画は四年かけ議論し、過程も公開するなど手順を踏んだ」と強調し、早期事業化に引き続き意欲をみせた。一方、予算案修正を踏まえた見直しの可能性には言及しなかった。
市の利用計画では跡地を中心とする5・5ヘクタールを活用。約8割は「市民広場」などと名付けた緑地公園を整備する。市は折り鶴展示施設は中央に置く予定だが、位置変更も検討中。戦後復興の象徴として球場スタンドの一部は残す。将来的には劇場や文化発信施設を設ける構想を描く。当面の事業費は33億6000万円。広場は2012二年度、利用開始を予定している。(滝川裕樹)
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