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「終球式」で、旧広島市民球場に最後の別れを告げる市民やファン(撮影・福井宏史)
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広島東洋カープの本拠地として親しまれ、年内に解体が始まる旧広島市民球場(広島市中区)で24日、市主催の「さよならイベント」があった。雨模様の中、市民やファン約4000人が別れを惜しんだ。球場の備品の公開オークションでは高額落札が相次いだ。
球場の入り口案内図やホームベースなど15点が出品されたオークションには約60人が参加。落札額の最高は一塁側ダッグアウトベンチの12万8000円。収益は計88万5000円で、市は球場解体や跡地整備の費用に充てる。
グラウンドでは、球場にちなむクイズ大会もあった。締めくくりは「終球式」。抽選で選ばれた10人と秋葉忠利市長がマウンド付近から、カープの倉義和捕手のミットに白球を投げ込んだ。
同市佐伯区、建築会社経営岡本光雄さん(63)は「カープ全盛期を支えた場。なくなるのは寂しいですね」と感慨深そうだった。
球場は1957年に完成。市は跡地を緑地広場などに一新する計画で、球場廃止条例に基づき9月1日に閉鎖した。(松本恭治)
■青春の地「ありがとう」 記念グッズに終日長い列
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お目当ての品を競り落とそうと、札を上げる公開オークションの参加者
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「長い間ありがとう」―。旧広島市民球場(中区)で24日にあった「さよならイベント」は、市民や広島東洋カープのファンがグラウンドに入ることができる最後の機会となった。思い出が詰まった球場に別れを惜しむ声が相次いだ。
球場ゆかりの品々が出品された公開オークション。熱烈なカープファンの呉市の高校教諭神垣有孝さん(45)は一塁側ベンチ裏にあったマッサージ台を5万1000円で落札した。「思い出の品が欲しくて。どうやって使おうか」と笑顔を見せた。
グラウンドでは、この日発売された記念グッズのコーナーに終日長い列ができた。南区の高校1年谷原祐史さん(15)は「球場が一体化して真っ赤になる雰囲気が好きだった」と話し、球場の土を使ったキーホルダーなどグッズ一式を買い求めた。
一塁側のブルペンで投球体験を楽しんだ佐伯区の会社員本山実さん(45)と南区の派遣社員福原由香さん(38)は「球場デート」を重ねた。結婚を予定する。「2人が仲良くなれたのも球場のおかげ。感謝の気持ちです」
応援用の法被に身を包んだ竹原市の無職平原純男さん(72)は「ここで生まれた名場面はわが青春そのもの。長い間ありがとう、と言いたい」。引退を表明した高橋建投手は公開オークションにゲストで登場し、「観客と近く、アットホームで大好きな球場でした」と振り返った。(松本恭治、桑田勇樹)
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