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ニュース |
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・毛がない「白いイノシシ」増加 (03.2.13)
・広島県、イノシシ狩猟1カ月延長へ (03.2.15) |
■里の皮膚病 山でまん延 人獣共通感染症の皮膚病、疥癬(かいせん)を患うイノシシが広 島、島根両県の山あいで目立っている。「人と獣の境が狭まった表 れ」とみる専門家もいる。 背景に人間界への接近 「白いイノシシがいる」。広島県河内町で昨年春、うわさが広が った。町猟友会がわなで捕まえてみると、毛が抜け落ちている。凸 凹に波立った皮膚は鑑定で「疥癬」と判定された。 町内で洋品店を営む中務隆治さん(65)の箱わなには、昨年暮れか ら今年一月までに、疥癬と思われる子イノシシ四頭が相次いで入っ た。肩からしっぽまで皮膚はむき出し、がさがさで「まるでゾウの 肌」だった。「人にうつるかもしれん」と恐れ、山に埋めた。 イノシシの疥癬は、都道府県への届け出義務がなく、統計に残ら ない。広島県猟友会の宮口富義副会長(68)は「ここ十年、県南部で 目撃談を聞くようになった。百万円以上する猟犬にうつると厄介」 と不安がる。 島根県内では、一九九五年ごろから疥癬のイノシシが目立ち始 め、県林業技術センター(宍道町)が九七年、猟友会などに聞き取 り調査。大田市で駆除した約三百頭のうち十頭が疥癬だったのをは じめ、木次、三刀屋両町など県央部の九市町村で発症していた。大 田市や隣接の邑智町では昨年も確認されている。 広島市安佐動物公園の獣医師渡辺仁さん(36)は、感染経路を( 1)人里でタヌキなどが飼い犬から感染(2)同じ獣道を使う、免 疫力の弱い子イノシシにうつる(3)群れ全体に広がる―と踏む。 「イノシシの人間界への接近と生息数の過密が背景」とみている。 処分は埋めるか、焼却すればよい。渡辺さんは「抵抗力の弱い子 どもやお年寄りは近寄らず、触る時はゴム手袋を着けて」と勧めて いる。 |