中国新聞社

(37)患者会がほしい情報交換で不安解消

2002/1/20

 同じ卵巣がんの女性からいただくメール、お手紙には、励ましの言葉に交じって、自分の具体的な検査データを記した相談もある。「この先、どうなっていくのだろうか」。そこはかとなく、不安が募るのだろう。

 でも、医師でない私は、どう返事をしたものかと考えてしまう。結局のところ、彼女の不安を受け止めてあげて、「お互い、がん患者として無理しないで生きていこうね」と書いてお返ししている。

 投かんする時、お便りをくださった相手の顔を思い浮かべる。目の前にいたら、お茶でもしながら、いろいろ話が聞けていいのになと思う。「時々、会えたらいいね」。電話口の向こうからも、そんな声が聞こえる。

 乳がんの患者会は聞くけれど、子宮がんや卵巣がん患者の会はあるのだろうか。

 東京には、それがあった。インターネットにホームページまで載せている。精神腫瘍(しゅよう)学を専門としている知り合いの医師が、患者会で講演しているのを見つけたので、活動ぶりを尋ねてみた。

 「先生、どんな雰囲気だった?」「すごい熱気ですよ。けっこう大勢の人がきていて」と、盛り上がりが伝わってくるようだった。一度行ってみようと思いながら、まだ実現していない。

 とりあえずは、自分のできるところからやってみるしかない。「患者同士の会というか、みんなで集まってみない?」と二人、三人と声を掛けてみた。すると、「うん、ぜひやろうよ」と二つ返事。みんな、同じ思いを持っていたのだ。

 今までお手紙や電話をもらった人たちの連絡先を整理すると、そこそこの数になった。集まって情報交換したり、最新の知識を学べる場がほしい。個人で対応するにも限界があるし、ネットワークをつくろうという思いを強くした。

 ただ、職場に戻って働き始めると、まとまった時間がなかなかつくれない。「二、三カ月に一度みんなが集まるほかに、個別の相談ができる日も月一、二回もてればいいなあ」と、次から次へプランが浮かんでくる。

 患者会の活動などに対して助成している企業や団体もある。論文を書いて申し込んでみたが、まだ実績がないのでうまくいかない。しかし、転んでもただで起きないのが、この私だった。

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