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日本最大の中都市目指せ
日本の主要都市で、広島は京都に次いで市街地に住んでいる人が多い。つまり居住地が郊外へと広がる「ミニ東京」ではなく、「小京都型」。水辺が美しく、百五十万人の都市圏人口でプロ野球球団を持ち続けてきた。「なかなかいいじゃん、広島」と言いたい。 都市圏ごとの人口動態を見ると、広島圏は東広島市が飛び抜けて増え、呉市の減り方が顕著で、全域では少し悪い。ただ東京も福岡も、絶好調とされる名古屋圏も、数年のずれがあるだけで基本的には成熟の段階を迎えている。衰えるのは広島だけではない。 大都市圏こそ高齢化は急速に進む。二〇二〇年の七十歳以上の人口は、東京、札幌、名古屋、福岡が今の二倍強になる。広島は一・八倍と全国平均並みで、今の島根県ぐらいの割合になる。 人口は増えない。となると、高齢者が元気で楽しく暮らすにはどうしたらいいか。これがまちづくりの前提だ。「景気がよくなれば若者が来る」なんて論理矛盾も甚だしい。 広島都市圏の場合、高齢化は郊外で深刻だ。二〇二〇年の七十歳以上の人口は、熊野町、安佐南区、佐伯区で二・五倍。中区、南区は一・四倍程度にとどまる。長期的には、車がなくても生活できる都心に人口を誘導すべきではないか。 人口減時代を迎え、土地も投資の対象ではなくなる。「まちは花」と考えてみよう。花=商店を咲かせるには、住宅や事業所、病院や学校なども要る。道路と駐車場だけでは、花は咲かない。 鍵は地権者が握っている。賃料を下げ、有効活用できないなら有能な人材に託してほしい。商店主は勉強し、住民はまちづくりに参加し、地元で消費する。行政は郊外への無駄な投資をやめる。 かつて広島は「日本最小の大都市」を自任しがちだった。空港や大学など、都心から商業以外を追い出した。 しかしこれからは、山と川に恵まれたコンパクトな構造を生かすことを考えよう。都心の住民を増やし、路面電車を高速化し、おしゃれな裏通りを育てよう。「日本最大の中都市」という発想に切り替え、もう少し都心を活気づけて、アジアの都市文化の拠点を目指そう。 2005.3.15 |