中国新聞

■ ユニタール広島事務所 第1回研修プログラム
紛争後の復興 どう支援
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2003ヒロシマ祈りの日

ヒロシマ胎動

2003/11/29

基調講演 詳報
米国コーネル大教授
マーク・セルダン氏

大切な社会改革の視点

 紛争後の復興という概念がどこから生まれたか。その概念は、第二次世界大戦後に米国が発明したと言える。米国は、日本のモデルを、今日まで復興のモデルとして提示している。
 日米の慈悲なき戦争が終わった数日後、米国は途端に、救援活動に乗り出した。当時は、敗戦国から戦争賠償金を取るのが一般的だったが、米国はほとんど要求しなかった。逆に、日本の復興に手を貸した。この日本のモデルを検証し、現代の復興にどのような限界があるのかを分析してみたい。

 東ティモールやアフガニスタン、イラクと違って、占領下の日本で米兵は一人も死んでいない。日本国民は日本の政権下にあり、米国は間接的な支配にとどまったためで、天皇制を維持したことも影響している。

 さらに、現代の諸国に見られない利点は、日本は世界の中で技術的に進んでいた。空爆により多くの産業基盤が破壊されたが、大規模空爆は数カ月間で、何十年もの長期ではない。再び復興するのは、難しくなかった。

 さらに日米間で、社会改革についての合意もあった。米国は土地改革を提案し、労働運動を可能にした。女性の権利も憲法に盛り込んだ。医療、保険の進歩的な制度も導入した。現代の復興支援では、こうした社会改革の視点を忘れがちではないだろうか。アフガニスタンでも、難民を永住にと結び付ける土地改革が必要ではないか。

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