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見捨てられた村
「死の灰」の地に残る ('06/4/17)

 大地はいまも、多くの作物をもたらしてくれる。苦労して建てた家には、先だった夫との思い出が詰まっている。ついのすみかは、ここ以外にはあり得ない。孫の少年と暮らす気丈なおばあさんは、そう言って笑った。

 ただひとつ、大きな問題があった。いとしき故郷は放射能汚染され、ほとんどの住民が避難した村だった。

 史上最悪のチェルノブイリ原発事故で、大量の放射性物質が降り注いだベラルーシ。今なお汚染された地域に百五十万人が暮らす。特に汚染のひどい地域の住民は、移住を強いられた。

 しかし、疎開を拒んだり、街から舞い戻ったりして、住み続ける人もいる。「サマショール」と呼ばれる人びとだ。「自分で動き回る」という意味だが、勝手に居座るわがままな人とも、やゆされる。

 なぜ、「死の灰」の地で暮らし続けるのか。ホームステイ先のゴメリ市を一時離れ、原発からわずか約五十キロのグバレービッチ村に一週間ほど泊まり込んだ。原発事故が地域社会に与えた傷跡は、二十年の歳月を経た今も、生々しかった。〈敬称略〉(滝川裕樹、写真も)

【写真説明】移住を拒み、放射能汚染のひどい村に孫(右)と住み続けるおばあさん(ベラルーシのグバレービッチ村)


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