中国新聞社
2011ヒロシマ
'11/7/27
碑は語る<3> 嵐の中の母子像<動画あり>


 ▽今に通じる母の願い

 衣にくるんだ赤子を右手で抱き、左腕は幼子をかばう。崩れそうになりながらも踏みとどまる母親。嵐を思わせる夜空の下、原爆ドーム(広島市中区)と原爆慰霊碑を結ぶ線上で存在感を放つ。

 ブロンズ像は、広島市婦人連合会(現市地域女性団体連絡協議会)が呼び掛け、彫刻家本郷新氏の作品を原型に建立した。「平和を守り抜く全ての母親の誓い」を象徴する。同会メンバーを中心に資金を集め、1960年8月に完成した。

 50年代前半、東京都杉並区の主婦の署名運動が初期の水爆禁止運動をけん引。第1回原水禁世界大会開催へつながるなど、母親の訴えは被爆国の平和運動をリードしてきた。

 たおれ、あるいは炎をくぐり抜けて戦後を生き抜く母子の姿。わが子を守りたい―。変わらぬ訴えは、原発事故で放射線を浴びる福島県と、各地の避難先からも発せられている。

 碑巡りガイド歴約20年の平岡満子さん(69)=東区=は願う。「命を生み、育てる思いを感じてほしい」(写真・宮原滋、文・馬上稔子)

 動画はこちら

【写真説明】嵐に立ち向かう母子の姿は、平和の尊さと、実現する困難さを感じさせる(魚眼レンズ使用)



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