NPT会議、核軍縮合意は持ち越し

'00/5/13 中国新聞地域ニュース

 【ニューヨーク11日江種則貴】米ニューヨークの国連本部で開か れている核拡散防止条約(NPT)再検討会議は十一日(日本時間 十二日)、核軍縮を議論する第一主要委員会の最終会合を開いた。 しかし、兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約や核兵器廃 絶への姿勢をめぐる核保有国と非保有国との意見の溝は埋まらず、 「合意なし」のまま十二日の本会議に報告することを決定。最終決 着は来週の非公式協議へ持ち越された。

 この日の委員会では、分科会のピアソン議長(ニュージーラン ド)が作業文書(議長案)を提示し、「分科会は合意に至らず、作 業文書は今後の議論の枠組みを提示するものだ」と最終報告した。 中国の代表は「われわれの立場を表していない」と、あらためて作 業文書に反対した。

 ピアソン議長案は、分科会の議論を通じて二度にわたって改定し たが、中国が米本土ミサイル防衛(NMD)構想を念頭に「宇宙の 軍拡と関連して議論すべき」と反対する、カットオフ条約の二〇〇 五年までの交渉終結を最後まで明記。

 さらにメキシコなど新アジェンダ連合(NAC)諸国の主張に沿 って「核保有国は核弾頭の完全廃絶に向け疑いのない約束をし、今 後五年間で核軍縮を加速させる」との項目を残したため、「廃絶は 究極的目標」との文言を挟むよう主張するフランスなど保有国と折 り合いが付かなかった。

 こうした分科会での紛糾を受け、第一委員会は結局、インド・パ キスタンの核実験を遺憾とした、全体の結論となるレイエス議長 (コロンビア)の作業文書とともに、最終合意ではないとの留保付 きで本会議に報告することを了承し、公式日程を終えた。

 核不拡散、原子力平和利用を議論する他の二つの主要委員会もほ ぼ同様の状況で、それぞれ「合意なし」とのただし書きを付け、本 会議に委員会報告として提出される。十九日の会期末に向け、ぎり ぎりまで水面下の折衝が続く見通しである。


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