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尾道商高創立120周年 飛躍への挑戦 <3>
クラブ活動


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日が傾きかけた尾道商高のグラウンドで、ノックを受ける野球部員

 ▽文武両道の精神息づく

 西日が差すグラウンドで、白球を追う尾道商高の野球部員たち。「ずばぬけた選手はいないが、よくまとまっている」と就任三年目の桧山忠監督(34)。一、二年生部員二十八人が効率よく練習できるよう、基本を中心にしたメニューを組む。

 一八九八(明治三十一)年に創部し、今年で百十周年。春夏計七回の甲子園出場を果たし、一九六四、六八年の選抜野球大会では準優勝。県東部の強豪校として「春の尾商」の異名をとった。

 プロ球界にも同校から二十四人の選手を送り込んだ。プロ引退後、監督として五八年に初めて夏の甲子園に導いた故池田善蔵さん、元広島カープ投手の備前喜夫さん、小川邦和さん、山内泰幸さん。昨年のドラフトでは、樋口賢投手が中日ドラゴンズに三巡目で指名された。現在の部員のうち三人が、甲子園出場メンバーの息子。不撓不屈(ふとうふくつ)、誠実謙虚…。池田さんが掲げた伝統が今も息づく。主将の二年大元潤也君(17)は「決してあきらめず、甲子園を目指す」と誓う。

 陸上部の三年浜井志保さん(17)は六日、ハンマー投げで大分国体に挑んだ。初出場の国体。自己ベストの45メートル48センチには届かなかったが、「大学でも続けて50メートル台を投げたい」と夢を抱く。

 商業系の部活動も毎年、成果を挙げている。簿記部では、日本商工会議所の簿記二級の資格を持つ三年加納高平君(18)が七月、全国高校簿記コンクールに出場。吹奏楽部と書道部に所属する三年力石朱加さん(18)も七月、全国高校情報処理競技大会へ進んだ。

 情報処理部の部長、三年清代将太君(18)は昨年四月、システム管理の国家資格の初級システムアドミニストレータを取得。高校生の合格率が全国で13%の難関を突破した。「より高度な資格を取り、将来はシステムエンジニアになりたい」と意気込む。

 部活動はスポーツと商業の両面で、全国に通用する人材を育ててきた。岩原弘泰校長(54)は「生徒たちのモチベーションの向上につながり、他の生徒のいい刺激になっている」と強調する。「文武両道」の精神が根付いている。(榎本直樹)

(2008.10.17)


尾道商高創立120周年 飛躍への挑戦
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