中国新聞


尾道商高創立120周年 飛躍への挑戦 <4>
地域貢献


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クリーン作戦の校内でのPR方法などを話し合う生徒会メンバーら

 ▽愛着持ち清掃・検定作成

 放課後の尾道商高の生徒会室に、役員の生徒らが集まった。「ポスターを張って呼び掛けたら」「もう一度、先生に日程をホームルームで言ってもらっては」。十一月一日の「クリーン作戦」に向け、参加する生徒をどうやって多く募るか議論した。

 六年前から始めたクリーン作戦は、学校からJR尾道駅までの国道2号沿いや海岸沿いなど三ルートの通学路を対象に、半日かけて空き缶などを拾う清掃ボランティアだ。生徒の奉仕と地域貢献の気持ちを育てる「態度的学力の向上」の教育理念の実践でもある。

 生徒会長を務める情報管理科二年の田中麻友子さん(16)は「『お疲れさま』と言ってくださる住民の方もいる。後輩たちに地域とのつながりを大切にしていこう、と伝えたい」と意気込む。

 寺のまち・尾道を照らす「灯(あか)りまつり」会場でぼんぼりの設置・点灯や、学校周辺の溝掃除…。奉仕の精神は地域も高く評価する。七月には国際ソロプチミスト尾道から「S(奉仕)クラブ」の認証を受けた。掃除用具代などに使う育成資金の提供を受ける。

 尾商には「知的財産の還元」という地域貢献もある。昨年二月、課題研究「観光・文化研究」選択の三年生が作成した尾道検定。「林芙美子の初恋の人は誰」「尾道が全国出荷量一位の野菜は」―。A4判の冊子にまとめた四択式の全二百九題。高校生による検定問題の作成は広島県内初の試みで、古里への愛着や誇りを再認識させる狙いも込めた。

 昨年七月には学校のホームページに検定コーナーを新設。若者が感じた尾道の魅力を全国に発信する。指導に当たった宮地浩教諭(41)は「出題を精査し、市や観光協会など公の機関に検定を実施してもらうのが夢」と発展を期待する。

 県内の商業高校の拠点校として開かれた学校づくりも目指す。十二月末にテレビ番組が収録できるスタジオや作業工房を整備する予定だ。「地元の人にも積極的に使ってもらいたい」と岩原弘泰校長(54)。商都・尾道で多彩な人材を育ててきた尾商の歩みは、常に地域とともにある。(田儀慶樹)=おわり

(2008.10.18)


尾道商高創立120周年 飛躍への挑戦
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