県道呉―平谷線不通で通勤・通学に影響

'99/7/2 朝刊

 集中豪雨による大きな被害を受けた呉市で、市中心部と北部のベ ッドタウン焼山地区を直結する「動脈道路」が土砂崩れのため全面 通行止めとなり、通勤、通学者に深刻な影響が出ている。被災三日 目の一日になっても復旧のめどはたっていない。

 焼山地区は、郊外の山間部を開拓した住宅地で、二万世帯三万六 千人が暮らす。市街地とは県道呉―平谷線(一部、片側二車線)で 結ばれ、一日の交通量は約一万八千台。同市交通局は、一日百四十 三便のバスを運行している。

 県道は、二十九日の集中豪雨で、道路そばの斜面が高さ約三十メ ートルにわたって崩落し、全面通行止め。普段、市街地を結ぶう回 路として利用されている別の県道も十六カ所で崩落などが発生し、 通行止めとなる不運が重なった。

 バス利用者は、最寄りのう回路として市西部の天応地区へ向かう 県道の路線を選び、バス、JRを乗り継いで学校や職場へ通ってい るが、ラッシュ時には車が集中して大渋滞。普通なら十五分のとこ ろを二、三時間もかけて通っている。

 焼山地区から全校生徒の二割の百四十八人が通う広島県立三津田高校 (呉市山手一丁目)では三十日、このうちの約百人が欠席。一日か ら始まった期末試験は、開始時間を二時間繰り下げて対応した。県 立宮原高(同市宮原三丁目)でも五日からの試験開始時間の変更を 検討している。

 県道を管理する県呉土木建築事務所には、住民からの問い合わせ や苦情が殺到。二十五回線ある代表電話は一日中鳴り響き、職員が 対応に大わらわ。同事務所の生田政行次長は「崩落の危険性がある ため、防止方法などを調査、検討している。復旧のめどは立ってい ないが、早急に対応したい」と説明している。

【写真説明】岩や土が崩落した呉市の県道呉~平谷線。復旧の見通しは立っていない


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