豪雨災害の帰宅不能世帯実態調査/県・広島市

'99/7/10 朝刊

 県と広島市は九日、災害救助法に基づく仮設住宅建設に向け、帰 宅不能世帯の実態調査を始めた。同法が入居の条件とする「全壊世 帯」以外にも、避難勧告の継続や土砂の家屋流入などで、帰宅でき ない住民から入居の要望があるためだ。県は、全壊以外の帰宅 不能世帯も対象になるよう厚生省と協議に入る。

 災害発生以来、広島市佐伯区内に出ていた避難勧告は、二地域を 除き同日、解除された。しかし、五十九世帯百五十人は、今後も避 難生活を強いられる。住民には「家が無傷でも帰れない」と疲労の 色が濃くなっている。また、勧告が解除されても家屋への土砂流入 などで、すぐには帰宅できない住民も多い。

 県と市は既に、災害救助法に基づき、仮設住宅建設の準備に入っ ている。しかし、同法が無料入居の条件としているのは、家屋が全 壊か、流出した世帯だけ。避難勧告の継続や道路の寸断、家屋への 土砂流入などは対象にならない。

 そのため県と市の災害対策本部は、佐伯区内を対象に全壊・流失 以外の帰宅不能世帯の実態を調査。こうした世帯も仮設住宅に入居 できるよう、災害救助法の弾力的な運用を求めて厚生省と協議す る。

 また、県・市は被災者への公営住宅の提供についても、全壊や半 壊、一部損壊だけでなく、他の帰宅不能世帯の入居受け付けも徹底 させる。

 県災害対策本部は「仮設住宅の建設には約三週間が必要。可能な 限り厚生省との協議を急ぐが、佐伯区以外の公営住宅にはまだ空き があり、その利用も考えていただきたい」と呼び掛けている。


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