▽平和主義 転換させない
―北朝鮮の核実験発表をどう受け止めましたか。
深刻な事態に衝撃を受けた。孤立への道に突き進む北朝鮮を国際社会に復帰するよう説得しなければならなかったところに、あってはならないことが起きた。
まず中韓と連携
―日本政府は独自の追加制裁措置をいち早く打ち出しました。
本来は対話と圧力の両面から外交努力をするべきだが、北朝鮮自らが核実験の実施を認めた以上、圧力に比重をかけざるを得ない。制裁は当然の対応だ。
しかし、どの程度制裁を加えるべきかを見極めるのは難しい。北朝鮮がさらに暴発する恐れがある。一方で「核保有国」というカードを持って交渉の場に復帰することも考えられる。安倍晋三首相が日中、日韓首脳会談を実現させたことは良い材料だ。両国との連携に注目している。
―「日本も核武装を検討し、北朝鮮の脅威に対抗するべきだ」という論議すら現れています。
考えることすら許されない噴飯ものの議論だ。非核三原則は日本の生命線。安倍首相もすかさず国会の場で堅持を明言したのはよかった。日本が戦後築き上げた平和主義を転換することがあってはならない。
軍事貢献に反対
―国連の制裁決議に絡み、集団的自衛権の行使を容認する議論も加速しそうです。
米国に継ぐ経済大国として、国連平和維持活動(PKO)などを通じた国際的な平和貢献はするべきだ。しかし、日本の平和主義を崩壊させかねない軍事貢献には断固反対だ。
日米同盟を基軸に、引き続き米と協調して北朝鮮問題に取り組まなければならないが、集団的自衛権の行使にまで踏み込む形での米追従は許されない。
―PNND・日本の代表として、被爆国の政治家の役割をどう考えますか。
世界に平和のメッセージを発信する広島・長崎の人たちを支援しながら、核兵器廃絶を一日も早く実現するため力になりたい。昨年は、都内の憲政記念館で原爆展を開催したり、衆院本会議で可決した被爆六十年に関する決議案を起草、提出するなど、ささやかながら行動をしている。
現在、国会議員の約七割は戦後生まれ。戦争の悲惨さを実感している人は少なくなっており、PNND・日本の活動もなかなか広がらないのが現状だ。しかし、近隣の核実験という困難に直面した今こそ、日本の政治家が世界平和の実現に向けて先頭に立つ決意を示さなければならない。(金崎由美)
すずき・つねお 早稲田大卒業。毎日新聞記者、河野洋平衆院議員秘書を経て、1986年に、当時の新自由クラブから衆院議員に初当選。2002年の結成時からPNND・日本(メンバー約50人)代表。自民党河野グループ。当選6回。
【写真説明】「非核三原則は日本の生命線」と強調する鈴木代表
    
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