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2003ヒロシマ祈りの日
ヒロシマ胎動
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2003/11/29
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基調講演 詳報 |
国連東ティモール問題担当事務総長特別副代表
長谷川祐弘氏
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■現地の言葉学び対話を
政府と行政機関の能力を開発し、国を安定維持させるための援助をするにはどうすればよいか。
東ティモールには、言語の問題がある。ポルトガル語が国語となったが、二十五年間のインドネシアの占領下にあって、国民の50%はインドネシア語を話す。すべての教師はインドネシア語での教育に慣れ親しんでおり、ほとんどの人がポルトガル語が分からない。教科書はなく、先生もいない。国民性を維持しながら、どうコミュニケーションを図るのかが、課題となっている。
そんな状況の中で、知識が豊富な専門家を送り込んでも成功するとは限らない。アインシュタインは天才でも、東ティモールのような国に送り込むにはふさわしくない。コミュニケーションが図れる人を派遣しなくてはならない。やはり言語である。お金がかかっても、支援者はまず、現地の人々が話す言葉を学ぶ必要がある。
さらに知識の説明にとどまらず、相手が知識を獲得し、使用して、自分たちの技能として所有し、それを国内の同胞に伝えるよう、仕向けなければならない。
研修を一対一でやるだけでは十分ではない。目指すのは制度や組織の整備である。組織や諸制度をつくるには、知識や技術を引き継ぐために、国内外での研修を取り入れるべきである。組織の文化や価値観にも着目し、より洗練された行動規範を作らなくてはならない。
例えば警察の場合、古い慣習はなくなりにくく、再訓練するのは本当に難しい。単に銃の使い方を学ぶだけでなく、いかに人に対する尊敬の気持ちを持つかという研修も必要である。
しかし、価値観や行動規範を変えていくのは大変で、国際社会が長期的に関与する必要がある。忍耐強さがいるし、その場しのぎではやっていけない。
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