平和を呼び掛ける今年の「ヒロシマ・アピールズ」ポスターが完成し、制作者のグラフィックデザイナー佐藤晃一さん（６１）＝東京都板橋区＝が二日、広島市役所で披露した。タイトルは「黄金の蝶（ちょう）」。広島や世界の戦争犠牲者が美しいチョウとして復活した構図に、深い祈りを込めている。

　近世初期に刊行された豪華な「嵯峨本」を参考にデザインした金色のチョウが、地球をイメージした丸い玉を守っている。背景も金色で、それらを引き立てる上部の青のグラデーションは浮世絵の風景をモチーフにした。佐藤さんは「平和への危うさを感じ、私の祈りをデザインした。多くの人に感じとってもらい、戦争のない世界が広がれば」と願っていた。

　Ｂ１判のポスターは、日本グラフィックデザイナー協会、広島国際文化財団が共同制作し、九作目。二千部印刷し、市に二百部寄贈した。原爆資料館や市現代美術館、市内の一部書店で千五十円で販売する。過去のポスターや市内のデザイン学校生らの作品約四十点を集めた平和ポスター展も二日から、中区の旧日本銀行広島支店で始まった。九日まで。（岡田浩平）

【写真説明】金地に金色のチョウを埋め込み、宗教的空間を生み出したというポスター