広島市中区の原爆供養塔に納めてある原爆犠牲者の遺骨のうち、名前が分かっていながら引き取り手が見つからない八百二十四人分の「原爆供養塔納骨名簿」が十三日、全国各地で掲示された。十月末まで張り出し、遺族からの連絡や情報を待つ。
広島市中区の広島バスセンターでは出発ホーム入り口に掲げられた。縦一メートル、横七十センチ。五十音順に名前が並び、住所や年齢など判明している手掛かりも付記してある。
掲示作業にあたったバスセンター職員の陰山洋輝さん(24)は「いまだに家族のもとへ帰られずにいる人が多く、心が痛む。一人でも引き取られ、供養してほしい」と力を込めた。
名簿は広島市が一九六八年から公開し、これまでに千六百十人の身元が判明。都道府県や市のほか、今年は新たに県外の町村にも送り、掲示を依頼した。広島市では公共施設や駅などで公開し、市役所本庁舎ロビーには百二十二人分の「長崎原爆無縁死没者遺骨名簿」も並べて張ってある。(田中美千子)
【写真説明】広島バスセンターに張り出された納骨名簿(撮影・山崎亮)
    
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