テーマは(1)核廃絶を目指す軍縮のプロセス(2)北東アジアにおける
緊張緩和、信頼醸成、軍縮(3)国連の平和維持活動(PKO)と人道
援助(4)軍縮データベースの検討。それぞれの専門の研究者や軍縮交
渉経験者らに呼びかけ、三―十人のプロジェクトチームを今後数カ
月かけて編成する。
「核廃絶」では、為政者に影響を与える核軍縮の具体的道筋を提
言する。オーストラリア政府が有識者を集めて核廃絶の道を探った
キャンベラ委員会などの成果を踏まえ「日本や広島の特色を加味
し、究極的な核廃絶を目指すビジョンを提示する」としている。
「北東アジア問題」は、韓国と朝鮮民主主義人民共和国(北朝
鮮)の対立解消や地域の非核化、「PKO関連」では多発する内戦
への対応策を練る。「データベース」は研究の支えにすると同時
に、情報発信や市民への研究成果の還元を図る。
研究期間は二―三年。研究の過程や成果は、研究者向けの研究
会、一般向けの公開講演会、シンポジウムなどで公開する。中長期
的取り組みとして、科学技術を使った軍縮状況の監視や、国際的な
核被害など八項目のテーマも併せて公表した。
広島平和研は広島市立大の付属機関として今年四月に開設。四回
の懇談会を開き、東京や広島の研究者ら二十八人の意見を参考にし
た。明石所長は「ヒロシマの思いが世界に届かないもどかしさがあ
った。非政府組織(NGO)と連携しながら、為政者が選択できる
具体的な提言をしたい」と抱負を述べた。
【写真説明】研究テーマを発表する広島平和研究所の明石康所長(広島市役所)

