8・6平和宣言の骨子発表

'98/8/4

 広島市は三日、六日の原爆死没者慰霊式・平和祈念式で平岡敬市 長が読み上げる平和宣言の骨子を発表した。インド、パキスタンの 相次ぐ核実験で、核危機が高まる中、世界各国に核兵器使用禁止条 約の締結を呼び掛け、ヒロシマの役割として「平和首都」を目指す 考えを国内外に打ち出す。

 宣言では、五月の印パの核実験について「強い憤りとともに、核 軍備競争の連鎖反応を誘発する」との懸念を表明する。背景に、核 保有五カ国が核軍縮に誠実に取り組んでいない現実があるとして 「核保有国の指導者に核兵器廃絶に取り組む努力」を強く求める。

 核兵器廃絶への道筋として「世界各国は、核兵器使用禁止条約の 締結交渉を直ちに開始すべきだ」と提起。「国民一人ひとりが、核 兵器に頼らない安全保障の方策を真剣に考えなければならない」と 指摘し、政府に対しても、核兵器廃絶への実効ある行動を起こすよ うに要請する。

 また、ヒロシマの役割では、核実験などによる世界の核被害者を 含め、国家を超えた都市、市民の連帯の輪を広げ、ネットワークで 国際政治を動かしていく必要性を強調する。今春の広島平和研究所 の設立などを例に挙げ、国際社会の未来を切り開くために「平和首 都」を目指す決意を表す。

 平岡市長は「核兵器に頼らない安全保障の枠組みに向け、まず、 核保有国に使用させないことを約束させることが急務。そのうえ で、各国の市民とともに、核兵器開発や製造を止めさせる国際世論 を高める努力をしたい」と話している。


MenuBackNext