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「おいでよオバマさん」第3弾
手紙英訳 心のリレー

今回はオバマ大統領を広島に呼ぼうというプロジェクトの第3弾です。

夢の実現にまた一歩前進しました。米国ハワイやニューヨークの高校生たち、中国地方に住む英訳ボランティアの皆さんの協力で、集まった手紙335通の翻訳が完了したのです。

翻訳ボランティアの人たちにどんな思いで参加したのか、訳してみてどうだったのか、を聞きました。「大統領と広島を結ぶ懸け橋になる」「広島の子どもたちの思いを知り、自分も期待するようになった」―。手紙に込められた思いが、書いた人だけでなく、国内外のより多くの人に広がったようです。

手紙を書いた皆さんの思いが一つになり、少しずつ実現へとつながっているような気がします。


			

オバマ大統領にあてた手紙の翻訳は、中国地方に住む小学6年生から大人まで20人にボランティアで手伝ってもらいました。大統領の母校・ハワイのプナホウ学園やニューヨークのスタイベサント高の生徒たちの力を借りることもできました。(高1・古川聖良、陶山岳嗣)

ハワイ −大統領母校「懸け橋」に


プナホウ学園では日本語を学ぶ高校2年と3年の74人が100通を翻訳しました。

日本語教師のピーターソンひろみ先生(60)=広島市南区出身=が「オバマ大統領の母校で日本語を学ぶ生徒たちは広島と大統領の間にいる。広島の声を伝える活動に協力したい」と生徒に呼び掛けました。

エリース・ティムティムさん(17)は中学生の手紙を訳しました。「広島に来てください」という率直な言葉に感動し「このメッセージを大統領に伝えるのは私の責任だ」と感じたそうです。

手紙を英訳するハワイ・プナホウ学園の高校生


ニューヨーク −教科書にない声 共感


スタイベサント高では卒業生を含め30人がそれぞれ1通ずつ翻訳しました。

日本語を教えるヘリンスキ千絵先生(48)=東京都出身=によると、2001年の米中枢同時テロで学校近くの世界貿易センタービルが攻撃を受けたことをきっかけに、生徒の間から自国が脅かされたら報復するべきだという意見がでました。

第二次世界大戦で原爆を落としたのは戦争を終わらせるためで、正しい手段だった、と考える生徒もいたそうです。そんな中、「教科書には載っていない個人の声を生徒に聞かせ、一緒に平和について考えたい」と翻訳を呼び掛けました。

ジェニー・ワンさん(17)は中学生の手紙を訳しました。ワンさんは2年前、広島市の平和記念式典に参加。家族を原爆で亡くした男性の話も聞きました。平和のために何かをしたいと思っていたそうです。「とても大事な目標のために書かれた手紙だから、生徒の思いを取り違えないよう一生懸命訳した」と教えてもらいました。

手紙を英訳するニューヨーク・スタイベサント高生


広島 −思い大切に言葉選び


ボランティアとして協力してもらった20人には約200通の翻訳をお願いしました。

広島城北高2年の西本宏喜さん(17)は休みの日などを使い、約10通を翻訳しました。「単純に訳すだけではなく、書いた人の気持ちも伝えられるように表現や言葉遣いを工夫した」と言います。同世代が書いた手紙を読み、世界を平和にしたいという強い気持ちに共感したそうです。

翻訳の最終チェックをしてもらったカナダ出身の英語教師ジョン・テナントさん(42)は「手紙を読んで自分が原爆資料館を訪れた時のことを思い出した。政治的には難しい問題もあるかもしれないが、オバマ大統領が広島に来てくれたらいいと思う」と話していました。

翻訳の感想を話すテナントさん(右)と西本さん(中)
(撮影・高1陶山岳嗣)


 「核兵器のない世界」公約 

オバマ大統領はこれまで、核兵器の廃絶や平和の実現についてどのような発言をしているか、調べてみました。

1月の就任式では集まった約200万人を前に、「古き友、かつての敵とともに核の脅威を減らすための努力を重ねる」と力強く演説し、核軍縮への決意を宣言しました。平和な世界をつくるために米国がリーダーシップを発揮しなければならないとも述べました。

就任前から「核兵器のない世界を目指す」との公約を掲げています。民主党の大統領選候補を選ぶ討論会などでも、核軍縮に向けて取り組む姿勢を示しました。爆発をともなう核実験を禁止する包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准や、核軍縮に向けてロシアと交渉することなどにも触れています。新型核弾頭の開発をやめることも明言しています。

米国の現役大統領はまだ、だれもまだ広島を訪れていません。オバマ大統領にはぜひ来てもらい、原爆が広島で起こしたことを肌身で感じてほしいです。そして最大の核保有国である米国の市民に伝えてくれることを期待しています。(高2・立川奈緒)


 プロジェクト 18紙紹介 

オバマ大統領を広島に呼ぼうという私たちの活動が、共同通信(東京)から国内外のメディアに配信されました。

国内では昨年末、長崎県の長崎新聞や沖縄県の琉球新報など、18紙に載りました。英字新聞デイリーヨミウリや、ジャパンタイムズでも紹介されました。

日本だけでなく、海外のメディアにも取り上げられました。世界中にニュースを配信しているAFP通信(フランス)やUPI通信(米国)が報じました。

300人以上が手紙を寄せ、核兵器の恐ろしさを知るために広島に来てほしいと期待していることなどが、国内外の人たちに紹介されました。(中3・岩田皆子)

「原爆の恐ろしさ知って」201通


手紙は日本人だけでなく外国の人も書いてくれました。「短時間でもいい。とにかく広島を見てほしい」。それぞれが来てほしい理由や期待の言葉を添えていました。プロジェクトのメンバーで分類してみました。複数の理由を書いた手紙もたくさんありました。(中1・坂田弥優)

オバマ大統領に来てほしい理由で一番多かったのは、原爆によって受けた被害の実情を知ってほしいという声でした。

「原爆資料館などを訪れ、戦争や核兵器の恐ろしさを実感してほしい」と記した人が201人。今のうちに被爆者の生の声を直接聞いてほしいと願う人が6人。復興した広島を見てほしい人が4人でした。広島を訪れることで平和の大切さを感じられるとした人も24人いました。

「核兵器のない世界にするために広島に来てほしい」「平和な世界をつくるリーダーシップを発揮してほしい」「広島を訪れることが平和への第一歩」―など、広島で学んだことを次のステップにつなげてほしいと願う人は82人でした。

このほか、米国の大統領は現役時代、被爆地を一度も訪れていないことを挙げる人が23人いました。

「オバマ大統領なら世界をもっと平和にしてくれる」など、期待のメッセージを寄せた人も47人いました。