第二次世界大戦終結二年後の一九四七年、九十年近くにわたる英国植民地統治から独立したインド。その立役者が、非暴力抵抗運動を貫き、独立への闘いの精神的支柱となったマハトマ・ガンジーだ。
その精神は翌年、ガンジーが暗殺された後も「ガンディアン」と呼ばれる人々によって、引き継がれてきた。
広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)の第五陣メンバー五人は、インド最大の都市ムンバイに滞在中、ガンジーの命日(一月三十日)を迎えた。
前日から市内で催されたさまざまな記念行事。その行事に参加しながら、ガンジーが唱えた非暴力や宗教融和の精神を力強く継承しようとする多くの人たちと出会った。
「暴力と破壊」の象徴である核兵器。それを手にしたインドの人々はすでに「独立の父」の精神を打ち捨ててしまったのだろうか…。そんな思いも抱いてのインド初訪問だっただけに、ガンディアンとの交流に勇気と希望を与えられた。
二〇〇一年九月の米中枢同時テロ後、「暴力と憎悪」の悪循環に一段と陥ったかに見える世界。「ガンジーの非暴力精神が今ほど必要とされる時代はない」。メンバーとともに「独立の父」の足跡をたどりながら、現地の平和運動家たちが口にした言葉をかみしめた。(文・森田裕美 写真・山本誉)
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