アジア・アフリカからの報告 原子力を問う
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安全重視し情報公開−韓国水力原子力会社社長 鄭東洛氏

 積極的に原発建設を進める韓国の原子力政策や技術開発の取り組みについて、国内の原子炉を保有する国営の韓国水力原子力会社社長、鄭東洛氏に聞いた。
 ―韓国は日本と同じくエネルギーの大半を輸入に頼らざるを得ない構造ですね。
 その通りで、一次エネルギー消費量の実に97%が輸入だ。だから、技術集約型エネルギーの原子力について一九八〇年代から国を挙げて自主開発に取り組んできた。今では技術が自立して、原子力を「準国産エネルギー」とみなすことができるようになった。
 ―原子炉の国産化も果たしました。
 韓国標準型炉は既に四基を建設し、今は二基を建設中だ。さらに一九九二年から、より安全性と経済性を向上させた大容量の改良型韓国標準型炉の開発に着手し、二〇〇二年には設計認可も受けた。これは、将来建設される四基に採用される予定になっている。
 ―今後、原発はどれぐらい建設していく計画ですか。
 政府の電力需給基本計画では、二〇一五年までに発電設備の35%、電力供給の46%を原子力にする予定だ。既に古くなった一、二基はこれから廃炉になる予定であり、その時点では二十六基が稼働しているだろう。
 わが社は政府のエネルギー需給政策を忠実に実行していくのが使命。原発の建設単価や運営維持費の削減など経済性向上にさらに努力していくとともに、地域住民に対しても社会的責任を持って経営していきたい。

 ―地域住民との関係強化には安全確保が不可欠です。日本では東京電力のトラブル隠し問題で信頼が損なわれました。
 まず日本で問題になった原発は沸騰水型軽水炉であり、韓国の加圧水型やカナダ型重水炉とは設計系統が異なる。日本とは状況が違い、そうした問題は起きないことを指摘しておきたい。
 わが国の原発では運転期間中に政府の駐在官や専門の検査官によって臨時検査が実施されていて、定期検査にも立ち会っている。地域住民には建設から運営に至るまですべての過程を公開しているし、インターネットを通じたサイバー広報も強化している。住民が直接参加した環境監視活動も実施されていて、安全性に確信を持ってもらえるよう努めている。
 ―政府は電力自由化も進めています。完全に自由化された時、原子力は生き残れますか。
 わが社は以前は韓国電力公社だったが、二〇〇一年に六社に分割され、電力供給では競争関係に突入した。二〇〇九年から完全な市場原理に基づく競争が実施される予定だが、原子力は火力発電などと比べて経済性が高い。完全自由化された後も、これまで通り強い競争力を維持できるものと判断している。




「原子力は電力が完全自由化された後も、これまで通り強い競争力を維持できる」と語る鄭氏
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