アジア・アフリカからの報告 原子力を問う
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日本と協力強化 期待
−原子力委員会委員長 ヴォン・フー・タン氏

 ベトナムのエネルギー需給見通しや原発の建設計画について、原子力委員会委員長のヴォン・フー・タン氏に聞いた。

 ―ドイモイ政策で電力需要が大幅に伸びています。エネルギー需給の将来見通しは。
 今のところ、水力や石炭、天然ガスなどの資源が豊富なおかげで足りているが、二〇一五年以降は不足し、エネルギー輸入国に転じる。電力需給の基本的なシナリオでは、二〇二〇年で三百六十億キロワット時、二〇三〇年になると千二百億キロワット時も不足する事態が想定されている。

 ―その解決策は。
 豊富な川の水量を利用して水力発電を可能な限り増やしたい。足りない部分は、隣国と結んだ送電網で電気を送ってもらったり、石炭を輸入するつもりだ。
 だが、経済、環境の両面からみて、原子力発電の導入が最もよい解決方法だと考えている。計算してみたら、輸入した石炭で火力発電をするより安く、地球温暖化防止にも役立つからだ。

 ―原発の候補地は、地元が誘致したのでしょうか。
 いや、それは違う。地元の知事から話を聞いたり、各地で原子力に関する展示会を開いて反響を探る中で選んだ。日本では民間が土地を所有しているが、ベトナムでは土地がすべて国有だから、地元が誘致するという行為は起きない。

 ―稼働にこぎつけるには、安全の確保がポイントです。
 われわれも最も重要な点だと考えている。特に将来、運転や管理に携わる人への教育が大事であり、今からきちんと取り組んでおく必要がある。
 既に三つの大学には原子力関係の講座を設けており、これからもっと実践に即したカリキュラムに改善していきたい。安全管理面を監督する原子力安全委員会も設置するつもりだ。

 ―燃料は国内で生産する計画ですか。
 今のところ、海外でウランを濃縮してもらって輸入し、燃料棒への加工は国内で実施する計画にしている。ウラン濃縮まで手掛けると、核開発につながると疑われてしまうし、われわれはその技術も持っていない。

 ―使用済み燃料の処分も早く検討する必要があるのでは。
 今はまず、米国のように一回だけの使い捨てにするか、日本のように再処理するかを勉強中。ただし、原発が実際に稼働して使用済み燃料の処分問題に直面するまで、あと五十年以上ある。それまではじっくりと世界の政策や技術開発の成果を研究し、それから決めたい。

 ―建設に協力を申し出ている国が多いですね。
 日本、韓国、フランス、カナダ、インドなどたくさんの国が協力を申し出ている。中でも、日本との関係が一番深い。日本はとても信頼できるパートナーで、われわれはさらに協力関係を深めたいと願っている。




「安全確保が最も重要なポイント。特に運転や管理に携わる人への教育などは今から取り組んでおきたい」と語るタン氏
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