アジア・アフリカからの報告 原子力を問う
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アジアは重要な市場
−鉱山エネルギー省原子力技術部長 ハレシュ・ハリチャルン氏

 PBMRの開発や電力需給見通しなどについて、鉱山エネルギー省原子力技術部長のハレシュ・ハリチャルン氏に聞いた。

 ―現在の電力状況と将来の見通しは。  二〇〇二年から〇三年にかけて、電力需要が4・6%伸びた。現在は足りているが、このペースで伸びると、電力が足りなくなるとみられる。  さらに、電力供給の九割を占める石炭火力発電所が二〇二〇年ごろには老朽化し、十一カ所の発電所のほとんどを建て替えないといけなくなる見通しだ。

 ―だから、新しい原子炉の開発を手掛けているわけですね。  そうだ。二〇二〇年までには少なくともPBMR八基が本格的に稼働している。既存の原発二基の百九十三万キロワットと合わせると、原子力の設備容量は三百万キロワット以上になっているだろう。  ただ、その時に発電に占める原子力の割合がどれぐらいになっているかは分からない。今は発電の6―7%だが、PBMRの開発がどれだけ成功するかで将来、どれだけ増やすか変わる。今後は天然ガスを使った発電も増やす計画で、輸入価格がどう変化するかにもよるからだ。

 ―PBMRの開発には政府も関与しているのでしょうか。  民間ベースの仕事なので政府としては直接は関与せず、あくまで南アフリカ電力公社の業務と考えている。だが、技術関連の調査事業などについては支援している。官と民との間で、バランスの取れたサポートができるよう心掛けている。

 ―二〇〇九年ごろにも商業化されると聞きました。世界各国にも輸出する予定ですね。  世界の原子炉開発の例では、どのケースも最初の原子炉が稼働し始めるころにはたくさんのオーダーが舞い込んでいる。だから、年間十基ぐらいのペースで輸出できると期待している。売り込み先では、特にアジアが重要な市場であり、日本、中国、インドネシアなどが対象だ。  政府としても、輸出に伴う雇用者の増加に非常に魅力を感じている。関連産業も振興できるし、それが社会、教育面の向上にもつながると考えている。

 ―大量の輸出を目指す一方、それが核拡散につながることは避けなければなりません。  輸出相手は、当然のことながら核拡散防止条約(NPT)の加盟国が対象になる。国際原子力機関(IAEA)が認めたような顧客でないといけない。それと、PBMRはプルトニウムを取り出す再処理が難しい。

 ―かつては核開発を進めた経験があります。  確かに、わが国は核兵器を持っていた。だが、それは放棄したし、今では核兵器につながる高濃縮ウランを製造する計画は持っていない。われわれは広島、長崎で起きた悲劇を教訓にして、あくまで原子力の平和利用だけを目指している。




「輸出に伴う雇用者の増加に非常に魅力を感じている。関連産業も振興できる」と語るハリチャルン氏
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