日本からの報告 原子力を問う
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もんじゅ再開へ準備着々
−核燃料サイクル開発機構理事長 殿塚猷一氏

 核燃料サイクル政策の要とされる高速増殖炉。原型炉「もんじゅ」の運転再開に向けた取り組みや課題について、核燃料サイクル開発機構理事長の殿塚猷一氏に聞いた。

 ―もんじゅがナトリウム漏れ事故で停止して約十年です。
 事故は地元住民はもちろん、広く国民に不安感を与えた。当時の動力炉・核燃料開発事業団にあっては、事故後の対応についてさまざまな問題を抱え、原子力に対する不信感を助長したことについて深く反省し、組織も衣替えした。とにかく、これまでの約十年が無駄にならないようにすることが大事だ。

 ―これまでの取り組みの内容は。
 運転再開に向けて、事故の解析や改造工事の準備などいろいろなステップを踏んできた。住民との対話活動も積極展開し、福井県の人口より多い九十三万人と話し合った。県民意識のアンケートで半分の人は再開してよい、という結果を得ている。運転再開に向けた必要条件は既に満たしており、残るは地元との安全協定に基づいて敦賀市長と福井県知事から改造工事の事前了解をいただくことだ。

 ―県の判断が鍵を握りそうですね。
 県議会では既に論議すべき事項は終わったとしており、後は行政側の判断次第だ。県が設けた安全委員会でも昨年、改造工事でさらに安全性が高まると結論付けてもらっているし、知事からぜひ一日でも早く改造工事に向けた許可をいただきたいと考えている。

 ―いつ運転再開できると見ていますか。
 県は十九日からエネルギー研究開発拠点化計画策定委員会をスタートさせている。それが知事が判断を下すうえで重要なステップになる。核燃料サイクル政策における高速増殖炉の位置づけについても国と協議して再確認すると聞いている。そこで了解をいただけば、改造工事に十七カ月かけ、テストも加えたら二年ぐらいで再稼働できる。

 ―核燃料サイクル政策に対しては今、見直し論が出ていますが。
 電力の事業的な観点からすれば、いつまでにどれだけ実施していくか、経済情勢や電力自由化など多様な要素がからむため、その核燃料サイクルの展開とその時間軸が伸縮するのは当然だろう。ただ、原子力政策において核燃料サイクルという基本理念は変わらないし、変わるほどやわじゃない。バックエンド費用は約十九兆円かかるが、それは数十年間にわたる総額。まるで今すぐ払わなきゃいけないような議論はおかしい。

 ―日本原子力研究所との統合問題も控えています。
 一たす一が一・五にとどまるのではなく、二以上にならないといけない。研究テーマが二重になっていたり、業務がダブっていたりするところを新組織で見直し、効率化する。世界の卓越した開発拠点、センターオブエクセレンスを統合理念とし、経営陣や従業員の意識改革をポイントに取り組んで行きたい。




「運転再開に向けた必要条件は既に満たしており、残るは地元の市長と知事からの事前了解だ」と語る殿塚氏
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