関西電力のプルサーマル計画を了承した理由や安全対策などについて、福井県知事の西川一誠氏に聞いた。
―このタイミングでプルサーマル計画を了承した理由は。
ここにきて国の核燃料輸入の検査制度や関西電力のチェック体制が改善されたと確認し、了承した。具体的には、関西電力が新たに燃料製造や輸送など各段階で事前に監査や評価を実施し、直接目で見てチェックする現場主義も導入したことを評価した。
―県民に反対の声はなかったのでしょうか。
この五年で議論が成熟したこともあり、県民の間に特に反対意見はなかった。そもそも利用目的のない余剰プルトニウムは持たないというのがわが国の国際公約。大きくは再処理されたプルトニウムが海外に約三十トンあるという現実を踏まえた。その状況は、九九年に事前了解した時点と変わっていない。
―県はどのような姿勢で臨むのでしょうか。
関西電力は燃料メーカーと本契約を結ぶ前に品質保証のチェックをするが、まずその二社間の契約内容について確認し、燃料メーカーに対する監査も実施する。製造工程についても節目ごとの報告を求めようと考えている。何か事があってから動くのでなく、事前に確認行動を取る。ただし、現地への県職員派遣までは考えていない。
―もんじゅが停止して約十年。再稼働についてはどう判断されますか。
県としても安全性検討委員会を設け、改造工事によっていっそう安全性が高まるという結論が出た。ただ、九五年のナトリウム漏れ事故以来、約十年も停止。プラントとして安全というだけで、ただちに再稼働を判断をするのは難しい。原子力政策の中でもんじゅがどういう位置付けにあるのかいま一度確認し、県民にとってどんな利益につながるか考えることも必要だろう。高裁で原子炉設置許可が無効とされた判決もあり、先月スタートさせたエネルギー研究開発拠点化計画策定委員会で論議する中で判断していきたい。
―核燃料サイクルについては見直し論も出ていますね。
従来通りの考え方でいいのか、いろいろ議論はあると思う。原子力委員会では原子力開発利用長期計画の見直しが検討されるが、地方の立場から意見を述べたいと希望している。いろいろ選択肢を設けた中から、幅広く検討を加えることが大事だ。
私自身は、日本のエネルギー事情を考えると核燃料サイクルを的確に進めることが重要だと思う。コスト面だけでとらえるのはどうだろうか。エネルギーの安定供給や地球温暖化防止など総合的な観点でみることが重要であり、費用負担については政府の果たす役割をもっと強めることが必要だろう。
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「この5年で議論が成熟したこともあり、県民の間に特に反対意見はなかった」と語る西川氏 |
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