日本からの報告 原子力を問う
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住民合意 醸成を待つ
−原子力発電環境整備機構理事長 外門一直氏

  最終処分の建設候補地の公募を始めた原子力発電環境整備機構理事長の外門一直氏に、手応えや住民の合意形成の在り方などを聞いた。

 ―公募を始めましたが、これまでの感触は。

 三千二百余りの市町村すべてに公募資料を送り、新聞やテレビなどでもPR。関心は高く、多くの問い合わせや質問が寄せられている。希望する自治体には職員が出向いて説明している。  まだ正式に手を上げてもらっていないが、それは自治体の枠組みが変わる市町村合併特例の期限が来年三月なので、それまではどうしても慎重な姿勢にならざるを得ないからだとみている。そう遠くない時点で手を上げていただけると期待している。

―応募は地元住民の合意形成がポイントになりますね。

 われわれもそうだとみている。さらに、自分のところだけでなく、周辺自治体にも理解してもらわないといけない。急いではことを仕損じる。こちらはさまざまなリスクやマイナス情報も含めてすべて公開するつもりだし、自治体には時間をかけて慎重に議論してもらえればと考えている。

 ―放射性物質が漏れ出すリスクなど、不安を持つ住民もいるのでは。

 われわれも科学的にリスクがゼロとは思っていないし、リスクを最小限にするため、地層の選定や工学的な技術開発などにしっかり取り組む。目に見えない放射線に対して心理的な不安があることも承知しており、そうしたデメリットを大前提に、どう工夫して地元に説明するかが大事だ。

 もう一つ大事なのは、事業を進めていく姿勢。愚直に真っ正直にやりたい。それによる信頼関係の醸成が大切だろう。地元の方々が自分の地域の事業として認め、われわれもそこの一員だという意識で臨みたい。

 ―費用はかなり巨額になりますね。

 期間も長く、百年レベルの事業になるからだ。ただし、その費用を負担する制度は既にできていて、事業者から毎年われわれに拠出してもらっている。五年に一度は制度全般も含めて見直し作業をするし、二十年かけて過去分も含めて積み立てるので心配はない。

 ―最終処分事業を地域振興、地域づくりにどうつなげますか。

 国は文献調査の段階から交付金を出し、概要調査の段階からはかなりの交付金がある。施設はトンネル設備の扱いになるようで、長期間にわたって固定資産税もある。建設から操業まで六十年間では総額千六百億円ぐらいになるだろうから、自治体にとっては安定した財源になる。  われわれは、地域にあらかじめ出来上がった振興策を押し付けるつもりもない。まず地元の希望をうかがい、それを実施するのが一番だと考えている。できるだけ地域の希望に沿う形の施策を実施していきたい。




「大事なのは事業を進めていく姿勢。愚直に真っ正直にやり、地元と信頼関係を醸成する」と語る外門氏
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