中国新聞

    のたんじょう


 パパも、もちろん、むかしはどもだった。そのころのおするぞ。

 どものパパは、のパパとはずいぶんちがう。だから、パパではなくて、ピパなのさ。


 そのは、ピパのたんじょう。ピパのパパが仕事からかえってきたら、家族みんなでケーキをべる約束だった。

 だけど、ピパはそれまでてなくて、ピパのママに、「ケーキせてせて、せてよう」ってだだこねた。こっそりクリームをですくってなめたら、つかって、しかられた。ほんのちょっぴりだったのに。

 つまんないから、ピパは夕方公園にでかけていって、どろケーキを一人ってあそんだ。って、をたいらにして、小石でかざったら、でっかいケーキのできあがり。

 だけど、たりないものがある。ろうそくがなくっちゃ、バースディケーキじゃない。ろうそくなんか、ちてるわけないよなってったけど、さがしてみたら、公園のすみっこにいいものがあった。

 たんぽぽのわたげ。ふわふわのやつ。ピパはわたげをいつつ、どろケーキにたてた。そしたらまあるいわたげのかたまりに夕日があたって、ほんもののろうそくみたいだった。

 さあ、フウするぞって、ほっぺたをふくらましたそのときだ。がピューッってふいてきて、わたげをとばしてしまった。

 ピパがぽかんとしていたら、で、電線がキュルキュルッ、ってった。まるでったみたいだった。

 のやつがいじわるしたのかな。そうじゃないと、ピパはった。

 今日のたんじょうなんだ。だからあのも、フウしてみたかったんだよ、きっと。

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