中国新聞

   まさかさま


 ピパって、どものころのパパのことだよ。

 まさかさまってってる?

 いたずらっこのさまで、のいったことの、さかさまばっかり いう。

 だれかがいっていったらいって、しいっていったらつまん ないっていうがいるよね。それは、あまのじゃく。まさかさま は、あまのじゃくとは、ずいぶんちがう。どこがちがうか、まあお き。それは、こんなふしぎなお

 ピパはトマトが大好きだ。どものころ、があって、夏休 みには、あおいのやら、まっかなのやら、たくさんトマトがなって いた。

 いちばんおいしいトマトのは、もぎたてガブリ。それに、 冷蔵庫でよーくやしたのもおいしい。

 ピパはいつも、とれたてのトマトを、冷蔵庫れておいて、毎朝そいつをガブリとやる。そしたら気分がしゃっきりする。

 ところが、あるのこと。

 「べたいな、トマト」っていいながら、冷蔵庫けたんだ。 ところが、ないんだよ。たしかにピパがやしておいたトマトが。

 あれ、おかしいなってったら、だれかがいったんだ。

 「トマトない、べた」って。
「なんだい、あれはぼくのトマトだぞ」

 ピパはそのにいいかえした。でも、そこにはピパしかいなかっ た。いったいだれのだろう。

 それが、まさかさまのなのさ。どうしてかわかる?
べたいな、トマト」

 さかさまにいってごらん。

 「トマトない、べた」になるもん。

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