中国新聞

   いごと


 ピパって、どものころのパパのことだよ。

 いごとをするとかなうって、ほんとうだ。

 だけどとってもむずかしい。いごとは三回くりかえさなくちゃ いけない。なのには、あっというまにえてしまうから、えてるひまなんてない。

 そこでピパはえた。たら、こういえばいい。

 「もいっかい、もいっかい、もいっかい」

 そうしたら、またえる。そのときまでに、いごとを 考えておけばいい。だからピパは、何度っている。

 だけど、それでもうまくいかない。「おもちゃおもちゃおもち ゃ」って、いってやろうとっていても、たとたん、す ぐにせない。何度やっても失敗

 でも、失敗をくりかえしているうちに、ピパはわかってきた。 いって、きっとこんなものなんだって。

 ほんとうのいって、いつもいつも、のなかで大切にしている もの。たときに、すぐに言葉になるくらい、いつも大切 にしているもの。

 それくらいのいがあったら、いはかなう。いをかなえてく れるのは、そんないなんだよ、きっと。



 いくつかのいをかなえながら、ピパは大人になった。

 パパとママが結婚したばかりのある二人公園のベンチにす わって、夜空見上げていた。すると、れた。

 パパは「をおいした?」って、ママにきいた。ママはこうい った。

 「ちゃん、ちゃん、ちゃん」

 パパのいごとといっしょだった。そしたらほんとにちゃんが やってきた。

 きみのことだよ。

(おわり)

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