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一期一会 心触れ合う 松山・遍路お接待'02/1/29

お遍路さんに愛媛特産のミカンを接待する主婦グループ。「人生観など教わることが多く、お大師さまの導きに感謝しています」(松山市)

祈りの風景  「どうぞ休んでいって。お茶はいかが」。鈴の音に混じり、澄んだ声が静かに境内に響く。 松山市畑寺町の四国霊場五十番札所・繁多寺で主婦グループ=坪田博美代表(51)=が、毎月一 回行っている「お接待」だ。

地図  お接待は、四国巡拝をする遍路に、湯茶、菓子、軽食、地元特産物、休憩所などを無償提供 しもてなすこと。文献によれば、大師信仰の一つとして、江戸時代中期にはすでに一般化され、 今なお四国各地に脈々と根付いている。

 坪田さんらは始めて三年目。メンバーは五人。訪れた遍路に、お茶やマッチ、特産のミカン などのお接待。「さまざまな人と話が出来、こちらが接待されているようなものです」と坪田 さん。

 「ありがとうございました」と手を合わせ、温かいお茶を飲み干し安どの表情を見せるお遍 路。一期一会のお接待。現代の日本人が失いつつある、人と人との心の触れ合いがそこにはあ った。

(写真と文 矢野玄=愛媛新聞)
=おわり


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