中国新聞オンライン
「同行二人」歩進め実感 高知・空海修行の地 '02/1/28

波が打ちつける岩礁が続く室戸岬。祈りの一歩を繰り返し巡礼の旅が続く(高知県室戸市)

祈りの風景  弘法大師空海は千二百年ほど前、秘境室戸(高知県室戸市)にやってきた。がけ下の神明窟 (しんめいくつ)にこもって修行した。隣の御厨人(みくうど)窟の毒蛇を退治したという伝 説も残っている。そのころの空海の歌が伝わっている。

 法性の 室戸と聞けど
 我がすめば 有為の浪
 風 寄せぬ日ぞなき

地図  太平洋に鋭く突き出た室戸岬は、二つの海をつくり出す。静寂な東岸からくるりと岬を回れば、 白波暴れる風景が飛び込んでくる。

 人の心の表裏にも似た“霊域室戸”の神秘。修験の地では、波に追われ、風にたたかれ、歩を 進めるうちに「同行二人」を実感する瞬間が訪れる。

 四国霊場八十八カ所を巡り、室戸三山を目指す遍路。吹きすさぶ風が巡礼者を知らず知らずの うちに祈りの姿勢へと導く。

 次の一歩、また一歩が祈りの一歩。巡礼の道は果てしなく続く。

(写真・反田浩昭、文・山崎一城=高知新聞)


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