中国新聞オンライン
競艇学校'09/12/08

実戦形式の訓練に臨む丸刈りの訓練生たち
学びの風景

 ▽夢の舞台へ猛訓練1年

 午前5時55分、スピーカーから小鳥のさえずりが校内に流れた。だが、訓練生たちはベッドの中で息を殺して合図≠待つ。午前6時、起床のブザーで一斉に跳ね起きると、寝具の整理、着替えを済ませ、中庭に整列、乾布摩擦を始めた。この間わずか3分。

 「ブザーの前に起きてはだめ。この世界、フライングは禁止です」。福岡県柳川市大和町の「やまと競艇学校」の小林雅人養成担当次長(46)は、勝負の世界に生きる心構えを教え子にたたき込む。

 この学校は、財団法人日本モーターボート競走会が設けた国内唯一の競艇学校だ。今春の入学競争率は約47倍。競艇選手や審判員などを目指す72人が、ボートの操縦や整備、法規などを学ぶ。時速80キロに達するボートの競り合いは、危険と隣り合わせ。本番さながらの水上練習で無理な操船をした訓練生には、教官が「なんて走り方してるんだ」と厳しく指導する。

 今春、スポーツ経験者の入学特別枠を新設した。オートバイレースで世界を転戦した葛原大陽訓練生(25)は「資金力で差がつくバイクと違い、腕一本で頂点に立てる」と競艇への挑戦を決めた。1年間の猛訓練を終える来春、夢の舞台の入り口に立つ。

(写真と文・伊東昌一郎=西日本新聞)
=おわり



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