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闇に隠した海の贈り物 コンブのトンネル(釧路)'02/9/18

岩盤がむき出しの「割れ岩トンネル」。出口に向かって、つややかなコンブが光の帯をつくった(釧路町昆布森)
道の辺に食あり  太平洋を北上する台風がもたらすうねりが、沿岸で高い波となって岩礁にぶつかる。 釧路管内釧路町昆布森海岸の通称「割れ岩」は、波で削られた岩がさまざまな造形美を 織りなす。

 大人が通れるほどの高さで、長さ約十メートルの小さなトンネルがある。地元の児童、 生徒の通学用に掘られたが、浸食と落石の危険から、いま使うのはコンブを拾う漁業者だ け。

 昆布森漁協によると、今年のコンブは実入りはいいものの、七月からの停滞前線の影響 で、操業できたのは解禁から五十日間でわずか七日。船を出せないいら立ちを抑えて、黙 々と海岸線のコンブを拾う。

 昆布森西城山の日下広さん(67)は「秋になると風が変わる。西風が強くなると向こ うにコンブがたまるんだ」と、年齢を感じさせない足取りでトンネルの中に消えた。

(写真と文・茂忠信=北海道新聞)
=おわり
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