中国新聞
2003.9.22

 「里海 いま・みらい」  3.資源回復

サワラ 増加に転じる
秋漁自粛など奏功 水産庁調べ

 

瀬戸内海のサワラ資源量と漁獲量 グラフサムネール「瀬戸内海のサワラ資源量と漁獲量」

クリックすると拡大します

 瀬戸内海を代表する大型魚サワラの資源量と漁獲量が、過去最低だった1998年以降、徐々に回復していることが水産庁の調べで分かった。操業自粛や昨年度から県境を越えて始めた資源回復の取り組みが功を奏しているとみられる。ただ資源量の水準はまだ低く、現在のままの漁獲を続けると再び減少すると水産庁は予測している。

 サワラは、同庁が2002年度から漁業者や沿岸府県と連携して進める水産資源回復計画の対象第1号。調査結果は、サワラの資源評価として瀬戸内海区水産研究所(広島県大野町)がまとめた。資源量は年齢別漁獲尾数や自然死亡率などを総合的に分析して推計した。

 02年の資源量は備讃瀬戸以東の瀬戸内海東部1020トン、燧灘(ひうちなだ)以西の同西部888トンの計1908トン。過去最低だった98年(664トン)の約3倍に増えた。98年から始まった播磨灘、備讃瀬戸での秋漁自粛による親魚の増加、餌になるカタクチイワシの増加などが主な要因とみている。

 同庁は資源回復計画の中で、90年代初期の5800トン(東部4000トン、西部1800トン)がサワラ資源の安定利用に最も適した水準と想定。漁業者の負担や魚価への影響を考え、当面は06年の回復目標を2160トン程度に設定した。

 一方、02年の漁獲量は984トン(東部521トン、西部463トン)。資源回復に連動し、過去最低だった98年の196トンから持ち直した。

 評価では、このままの漁獲量が続けば、04年の資源量は1583トンへ再び減少すると予測。漁獲量を700トン(東部400トン、西部300トン)に抑え資源量を維持する必要性を指摘している。

 同研究所資源生態研究室の永井達樹室長(55)は「資源回復に伴い、増えた操業日数の制限などを検討する必要もある」と提言している。