中国新聞
2003.9.29

 「里海 いま・みらい」  4.アサリ

アサリ再生へ本腰
減少要因分析 対応策を探る
水産庁協議会

 

1980年からのアサリ漁獲量の推移 グラフサムネール「1980年からのアサリ漁獲量の推移」

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 瀬戸内海をはじめ全国的に激減しているアサリの漁獲量を上向かそうと、水産庁は本年度から、本格的な資源回復事業に乗り出した。8月に研究機関などからなるアサリ資源全国協議会を設け、減少要因などの分析を開始。10月1日には、同協議会の瀬戸内海地域ブロック分科会が初めて開かれる。

 国内での漁獲量は、1983年の16万トンがピーク。徐々に減り続け、2001年には約5分の1の3万1000トンに落ち込んだ。国内消費量は年間約10万トン。不足分は中国や北朝鮮、韓国からの輸入で補っている。

 ピーク時には国内漁獲量の3分の1以上を占めた瀬戸内海は特に深刻。85年の4万5000トンが、01年は2800トンと16分の1になり、減少率でみると全国の3倍というペースで進んだ。

 こうした危機的な状況に対応するため発足した全国協議会には、メンバーとして各都道府県の水産試験場や水産総合研究センター(横浜市)、大学の研究者たちが加わった。瀬戸内海のほか、北海道、太平洋、九州の各地域ブロック分科会を設けた。

 事業は3年計画。本年度はアサリ漁業の変遷や現状の調査を進める。来年度にかけて減少要因などを分析。資源回復に向けての具体的な事業計画などを柱にした提言を05年度中にまとめる。

 瀬戸内海地域ブロック分科会は、瀬戸内海区水産研究所(広島県大野町)を核に組織された。同研究所である初会合では、実態を把握するため沿岸11府県を対象に実施したアンケートに基づき減少要因などについて意見交換し、今後の取り組みを決める予定という。

 分科会長を務める同研究所の薄浩則企画連絡科長(43)は「アサリの激減には、乱獲やえさの減少などさまざまな要因が複合的に絡んでいる。漁場、海域ごとに原因を分析し、対応を検討したい」としている。