■ 貧酸素水塊 ■
排水でバランス崩れる
貧酸素水塊は、海水に含まれる酸素が極端に少なくなる現象。海底にたまった有機汚泥(ヘドロ)をバクテリアが分解する際、多量の酸素を消費するために起こる。溶存酸素量が4ppm以下で魚介類に異常が見られ始め、2ppm以下で生存が難しいとされる。
貧酸素状態は、生活・工業排水などの窒素、リンが増えて海のバランスが崩れたのが主な要因とされる。本来、窒素やリンは生物の栄養源だが、富栄養化状態になると植物性プランクトンが適量を超えて増殖。その大量の死がいが沈むと海底で有機汚泥になる。
貧酸素水塊の出現は、海水の循環とも大きく関係する。
気温の上がる時期、特に7〜9月は、底層より表層の水温が高くなる。温かい海水は比重が小さいため表層付近に、冷たい海水は逆に底層付近へ滞留。この結果、上下のかくはん、海水混合が進まなくなり、底層に近いほど貧酸素が深刻化する。
さらに、バクテリアが酸素を取り込みながら有機汚泥を分解すると、窒素やリンが再発生。表層部で再び植物プランクトン増殖の原因になる。「海の生活習慣病」ともいえる悪循環である。
気温が下がれば、表層と底層の水温が逆転。上下の循環が起こり、貧酸素状態も解消に向かう。
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