1.改善と停滞 2003.9.8
きれいな海を取り戻そうと、30年前に施行された瀬戸内海環境保全臨時措置法(瀬戸内法)。漁業者の切実な訴えを、研究者たちが学術的に支えた成果でもあった。その動きの一つ「瀬戸内海汚染総合調査団」からは、瀬戸内海の研究を担う人材が輩出した。彼らが目を注ぎ続けてきた瀬戸内海はこの30年、改善と後退そして停滞の歩みを刻んでした。海は一時期よりきれいになったが、開発は続く。海底のヘドロに起因する貧酸素水塊などの負の遺産は、今ものしかかる。再生の道筋を探る中で、「里海」という言葉が注目されている。陸の里山ように、人が適切に手を加えることで、環境浄化機能や漁業などの生産性を高める取り組みである。
文・西原太、梨本嘉也 写真・今田豊、天畠智則
・ 「貧酸素」海の幸脅かす 水質改善の広島湾異変
特集 恵み再生 人が耕す
・ 30年前、若き日の調査経験。復活への思い今も脈々
・ 「海が煮える」底の酸素枯渇。浄化願い試行続く
◆年表◆ 瀬戸内海をめぐる主な動き
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