アサリ漁獲量の減少の要因(推定) |
(1)乱獲 |
一大産地だった東京湾で埋め立てが進み、品薄に。このため他産地で採貝が過熱した |
(2)陸地側の変化 (ダム建設、河川改修、広葉樹林伐採) |
▼浮泥の増加 ダムによる水量調整で流入する水と砂が少なくなり、泥化が進行。アサリの成育を妨げる浮泥が河口付近に増えてきた
▼海へ流入する養分の減少 アサリのえさになる植物性プランクトン「ケイソウ」の栄養源であるケイ素が、ダムで妨げられて海に出る量が減った。広葉樹林の落ち葉が分解されてできる有機物も栄養源になるが、河川改修で底や側面がコンクリート張りになると分解が進まない
▼土砂のたい積 大雨などで土砂が大量に流出し、殻長の3倍以上に積もると、はい上がれずに窒息死する |
(3)埋め立て |
▼干潟の減少 生活の場の干潟や河口域が狭まり、過密状態によるえさ不足や、分散できず外敵の被害を受けやすくなった
▼潮流変化 潮流が変わり、幼生の着底経路が変わった |
(4)水温の上昇 |
▼溶存酸素量の減少(貧酸素水塊の発生) 夏場、貧酸素状態が数日続くと、酸素不足で生存できなくなる。温暖化の影響も
▼還元泥(硫化水素) 貧酸素水塊の発生により、泥の中のバクテリアが活動。硫化水素が生じ、濃度が高まると死んでしまう
▼塩分の上昇 温暖化の影響で水位が上昇し、塩分の高い外洋の海水が流入。生息域が狭まる |
(5)外敵 |
▼寄生虫 全国のほとんどの漁場で、へい死の要因になる可能性がある「パーキンサス原虫」の感染がみられる
▼食害生物 ツメタガイやエゾタマガイ、ナルトビエイ、放流量が増えているチヌなど多数
▼競合生物 粘り気のある足糸を出し、アサリを窒息させるホトトギスガイや、海底に穴を掘るアナジャコなど多数 |
(6)その他 |
▼水質改善 リン、窒素の排出規制や下水道の整備などで、瀬戸内海の水質が改善されて栄養分が相対的に少なくなり、えさになる植物プランクトンも減った
▼のり養殖の衰退 冬場、北風で波の強い地域では、幼生はのり養殖網につく。養殖の衰退で網が減少 |