熱いファンの存在実感

日南市商工観光課臨時職員
川越利明さん(30)
=宮崎県日南市

 

   日南で春季キャンプが始まると、「カープガイド」に変身する。天福球場前の案内所で訪れるファンにメンバー表を配り、練習やスケジュールの問い合わせに応じる。「たる募金」の呼び掛けも忘れない。
 自ら、衛星放送で全試合をチェックするほどのコイ党。訪れた人たちとカープ談議で盛り上がる。「大好きなチームと、ファンの両方にかかわれる仕事。これ以上の幸せはない」と表情がほころんだ。  日南市で生まれ育った。幼いころから「カープの季節」が、待ち遠しくて仕方がなかった。秋と春のキャンプがある、十一月から二月にかけての四カ月間だ。球場や町の中で、あこがれの選手たちに会える。高校の昼休みには、校舎の屋上から練習をのぞいた。
 体調を崩し、八年間勤めた会社を退職した二〇〇一年、現在の仕事に就くきっかけになった、グラウンド整備のアルバイトを経験した。天福球場で汗を流すナインに接した。「厳しい練習にも決して音を上げない。必死だった」。派手さや華麗さはない。ひたすら野球と真剣に向き合う姿に元気をもらった、という。
 今年から案内所に「メッセージボード」を作り、ファンの声を募っている。百枚近く集まった中で、最も多いのは選手個人ではなくチーム全体への激励である。「今年こそ優勝」「観客動員百万人」、そして「新球場を造ろう」―。
 「東京、沖縄、日南の三カ所で募金したという人もいた。カープは本当に熱いファンに支えられている」。遠く離れたキャンプ地にいてこそ強まる応援への思い。カープと市民、ファンとの橋渡し役を続けていきたいと願っている。

【写真説明】天福球場前の案内所で、たる募金を呼び掛ける川越さん(右)(撮影・松元潮)

かわごえ・としあき
 宮崎県日南市出身。高校卒業後、会社勤めなどを経て2003年12月から現職。カープの市民ファンクラブ「C―RED Go1」代表。

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