郷土意識高める原動力

筑波大2年
森島正一さん(20)

 

 「実は…」。話しにくそうに切り出した。「熱烈なカープファンではなかったんです」。それが今では、広島出身学生でつくる県人会の中心メンバーとして、カープ応援の先頭に立つ。五月下旬の宿舎(寮)祭では、ユニホーム法被を着て、広島風お好み焼きを焼きながら、「たる募金」を訴えた。
 カープへの思いが変わったのは、県人会へ入ったのがきっかけ。首都圏の各球場で熱狂的なファンを目の当たりにした。そして、東京ドームであった巨人戦。緒方孝市選手が放った先頭打者ホームランが「決定打」となり、応援熱は一気に高まった。  県人会は今年、創設二十周年を迎えた。記念事業を展開するため、企画実行委員会を結成。副委員長に就任した。計画を練る際、広島市西区に実家がある県人会会長・二年の籔田愛優美さん(20)たちと相談。「広島で盛り上がっている新球場建設運動と連携し、郷土意識を高めよう」と宿舎祭での募金を決めた。
 広島風お好み焼きは祭りの名物。毎年、二日間で七、八百枚が売れる。人気を落とさないため、ソース会社の東京オフィスで焼き方を習う努力も欠かさない。今年も売れ行きは順調。屋台近くの募金用酒だるには、約三万円が寄せられた。
 CDの売れ行きが伸びると、たる募金額が増えることから、応援歌「Red」の販売促進にも一役買う。作詞、作曲したミュージシャン石田匠さん(32)が同じ町の出身という縁もあって二十周年記念事業のテーマソングにした。
 十月上旬、三日間にわたって開かれる学園祭でも、お好み焼き屋台を運営する。宿舎祭に比べ、お客さんが増えるのは確実で、募金の上積みを図る。学園祭に併せて催す県人会のパーティーでは、「Red」の生演奏を石田さんに頼み、出席者にCD購入の協力を呼び掛ける予定だ。
 「遠く離れた地で、広島の魅力を発信する原動力にもなる」。カープの歴史を紹介するミュージアム併設、特産品の販売コーナー…。新球場への期待を胸に、あふれるエネルギーを発揮する。

【写真説明】「郷土意識が高まる」。宿舎祭で、たる募金を呼び掛けながら、広島風お好み焼きを焼く森島さん(茨城県つくば市の筑波大)

もりじま・しょういち
 広島市佐伯区出身で、広島工大付属広島高校を卒業した。大学では第三学群工学基礎学類で学ぶ。昨年度は筑波大広島県人会の第19代会長を務めた。

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