タイトル「ひろしま 都心のあした」
  パート 2  社会実験

    街を歩けば (上)
     広島市道路交通局長池上義信氏に聞く


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 ■実験 まちづくりへ一歩

 ―実験の狙いを教えてください。

 価値の高い新たな道づくりを考える中で、都心の回遊性を高める手段として「人と自転車の共存」という発想が出てきた。僕らの若いころから、デートといえば本通りしかない。安心して、ゆったり歩ける区域を広げたい。回遊性を考える実験は、まちづくりを考える実験でもある。

 ―道路の担当部署がまちづくりですか。

 田舎の道が二つの地点を結ぶ通路であるのに対し、街路は街の構成要素の一つ。目的がなくてもぶらぶらしたり、立ち話をしたり…。今回は道路空間から切り込んだが、まちづくりは当然あらゆる部署がかかわってくる。第一歩のつもりだ。

 ―都心の交通手段をどう考えますか。

 一人当たりの占有面積から考えると、電車、バス、自転車の順。自動車を集めるのは合理的ではない。しかし、市は都心内でも駐車場建設を促進する政策を進めてきた。

 ―自動車に対する考え方と実際の対策にぶれがありますね。

 これまでは、都心をどうしたいのかがなかった。行政にも責任もある。今回の実験は、都心にかかわるさまざまな立場の人たちが、空間をどう使い分けていくかを探る一つのプロセスだと思う。結果、「何かせんといけんなあ」という意見が市民、行政に出てくれば、イメージも見えてくるのではないか。

2004.1.29