タイトル「ひろしま 都心のあした」
  パート 4  平和記念公園

    ■ 駐車場はどこ? ■
      不案内 探し回る観光客


写真
撤去されることが決まった元安川左岸のパーキングチケット式駐車場(広島市中区)

 「これ何て書いてありますか…」。一月半ば、広島市中区、平和記念公園のレストハウス。旅行中の韓国人男性が、おぼつかない日本語で職員に尋ねた。手には駐車違反を知らせる紙。レンタカーをレッカー車で持って行かれたのだった。

バスも苦労

 レストハウスで観光案内を担当する三浦知子さん(35)は「駐車場の場所を聞いてくる旅行者は多いですよ。旅先で駐禁を取られたら、どんなにショックか」と同情する。観光客向けの駐車場マップは、進入口や規模が分かりにくかったり、平和記念公園が一番端に載ったりして役に立たない。

 駐車場の悩みは、観光バスの前にも立ちはだかる。公園周辺には五十六台分のバス駐車場がある。しかし春秋の観光シーズンはあふれ返り、一帯をぐるぐる回る駐車待ちのバスをよく見る。

 年間約三千件の団体旅行を受ける広島バス観光部長の野田浩司さん(61)は「修学旅行は分刻みのスケジュール。警察のおとがめを承知で、公園に近い相生橋で降ろすこともある。道路交通法違反すれすれです」と苦労を明かす。

 市による市民アンケートでも、平和記念公園の問題点のワーストは「駐車場がない」だった。

 そんな中、市は元安川左岸(相生橋―平和大橋)のパーキングチケット式の駐車場を段階的に撤去することを決めた。三浦さんが「公園に一番近くて、よく紹介する」駐車場だ。一帯の景観保護と近くの本通り商店街への回遊を高める狙いという。

民意とズレ

 市の調べでは、公園周辺には約二千台分の駐車場がある。利用率は日曜日でも八割。市は「数は足りているので撤去は問題ない」とし、市民の意識とはギャップがある。

 ただ駐車場対策担当で市道路管理課長の久保下雅史さん(46)は分かりにくさを認め、「公園に専用駐車場があるのが一番いいとは思うが…」と話す。

 都心の交通に詳しい広島大大学院助教授の奥村誠さん(42)=地域計画=によると、「駐車場は、『必ずあそこにある。例え少し待っても必ず止められる』―という安心感が重要」という。数字だけで「充足している」と言い切るのはどうだろうか。初めての人も迷わずに済むよう、案内などを工夫する必要がある。

2004.5.1