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エノラ・ゲイ公開 抗議訪米前に被爆者が会見 '03/12/4

 ■原爆正当化の展示やめて

 広島に原爆を投下したB29爆撃機エノラ・ゲイの一般公開に併せ、原爆被害を示す資料も展示するよう求めるため、米ワシントン郊外のスミソニアン航空宇宙博物館の新館を訪問する被爆者たち三人が三日、広島市役所で会見し、「原爆を正当化するような展示は絶対に許さない」と決意を語った。

 訪問団は、広島県原水禁常任理事の坪井直さん(78)=南区▽通訳会社経営の小倉桂子さん(66)=中区=の被爆者二人と、被爆二世で高校教諭角田拓さん(40)=東区=の計三人。原爆についての説明文が人的被害などに触れないことから、抗議するため、県原水禁が十一〜十八日の現地派遣を決めた。

 坪井さんは「米中枢同時テロ後、米の戦争は正義だとの風潮が目立つ。イラク問題で厭戦(えんせん)気分が広がる国民の戦意を再び高揚させる狙いもある」と展示を批判。「核兵器は悪魔だと伝えたい」と訴えた。

 小倉さんと角田さんも「若い世代と直接話し合いたい」「ヒロシマはどう思われているのか肌で確かめる」と述べた。一行は一般公開が始まる十五日、現地の平和活動家や日本被団協が派遣する被爆者四人とエノラ・ゲイの前で抗議。滞在中、平和集会や会議にも参加する。

 ■クリック スミソニアン航空宇宙博物館 スミソニアン協会が運営する博物館や美術館計十七カ所の一つで国立。95年にエノラ・ゲイの一部の特別展示に併せて原爆展が企画された際、退役軍人団体などの猛反発で事実上中止された。今回は完成した新館で、完全修復した機体を公開する。原爆についての説明文は「広島に初の原爆を投下した」にとどまる。

【写真説明】エノラ・ゲイの一般公開に併せ、原爆被害の悲惨さを伝えるため訪米する左から坪井さん、角田さん、小倉さん



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