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抗議訪米に中傷メール、英文4通 「地獄へ落ちろ」 '03/12/4

 「地獄へ落ちろ」―。広島への原爆投下機エノラ・ゲイが、米スミソニアン航空宇宙博物館の新館で公開されるのに合わせ、被爆の惨状を伝えるため現地へ向かう被爆者で通訳会社経営小倉桂子さん(66)=広島市中区=の元へ、訪米を激しく責める英文の電子メール=写真=が相次いでいる。

 小倉さんによると、これまでのメールは四通。二日から三日にかけて、小倉さんが代表を務め、ヒロシマを英語で紹介している通訳ボランティア団体あてに届いた。送信者名はいずれも外国人名だった。抗議訪米に対する嫌がらせらしい。

 内容は「米国には良心のかしゃくや後悔を覚えることなく、エノラ・ゲイを誇る正当な理由がある」「わが国が始めたわけではない戦争を、終結させた操縦士を誇りに思う」「あなた方がわが国に来て抗議することは、非常に腹立たしい」などとしている。フィリピンで米兵捕虜が多数死亡した「バターン死の行進」や真珠湾攻撃などを引き合いに出すケースもあり、「自国が市民を無慈悲に殺したことを学ばないうちは、何も言う権利はない」と強調する。

 日本人を「ジャップ」と呼び、敵意をあらわにした文面も。主張などから、送り主のなかには米国の退役軍人も含まれているとみられる。小倉さんは「初めは怖かった。でも、原爆投下を正当化する誤った考えは改めなければならない。現地で理解が深まるよう努めたい」と、訪米の決意をさらに固めている。



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