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エノラ・ゲイ展示に変更なし 館長が意向 '03/12/13

 広島への原爆投下機「エノラ・ゲイ」の一般公開に合わせ、原爆被害についても同時に伝えるよう求めた広島市の秋葉忠利市長に対し、米スミソニアン航空宇宙博物館のジョン・デイリー館長から返信が届いたことが十二日、分かった。

 返信はA4判一枚にタイプされ「この問題にはいろんな議論があるが、博物館としては純粋に、科学技術が進歩した事実を展示するのが最良の方法」との趣旨が記してあった。復元されたエノラ・ゲイの機体が中心の展示を、変更しない意向を示している。

 市によると「被爆者の考えは理解できる」などと、博物館内部で原爆の被害展示について議論したことをうかがわせる記述もあったという。

 秋葉市長は十月に出した要請文で、展示が原爆の威力や投下の正当性を示すのであれば「極めて遺憾」とし、「核兵器使用の悲惨さ」などを伝えるよう求めていた。

 市国際平和推進部は、十五日午前(日本時間十六日未明)からの一般公開に合わせ、広島から訪米した被爆者たちの帰国を待って報告を受け、原爆被害の同時展示を重ねて要請する。



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