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原爆被害展示し真実を 「エノラ・ゲイ」訪米団抗議 '03/12/14

 ■坪井さん、全米プレスクラブ会見

 【ワシントン12日岡田浩一】原爆投下機エノラ・ゲイの展示に抗議するため訪米している広島県原水禁と日本被団協の派遣団七人は十二日午前(日本時間十三日未明)、ワシントンの全米プレスクラブで会見し、展示の見直しを訴えた。さらに、スミソニアン航空宇宙博物館を訪れ、秋葉忠利広島市長のメッセージ文や署名二万五千人分を提出した。

 会見で県原水禁常任理事の坪井直さん(78)は、自らが写った被爆当日の写真を示しながら「広島の被害を展示して、はじめて歴史の真実が明らかになる」と、エノラ・ゲイの展示に原爆被害の説明を添えるよう訴えた。

 地元記者から「戦時中に日本がアジアで犯した罪も展示すべきか」と問われると「立場の違いを超え、悪いものは悪いと言わなければ、戦争はなくならない」と答えた。

 会見に同席した作家で平和活動家のダニエル・エルズバーグさん(72)は「エノラ・ゲイを技術の進歩の証しとして展示するのは、米中枢同時テロで使われた飛行機を説明抜きで展示するようなものだ」と激しく非難した。

 会見には、全米のテレビネットワークや英BBC、フランス国営放送などの報道関係者たち約五十人が詰め掛け、エノラ・ゲイ論争の関心の高さをうかがわせた。

 一行は続いて博物館の本館を訪ねた。ジョン・デイリー館長は出張で不在のため、ジョン・ベントン副館長にメッセージ文や署名を手渡した。エノラ・ゲイは十五日(同十六日未明)から、ワシントン郊外に開館する博物館の新館で一般公開される。

【写真説明】全米プレスクラブでエノラ・ゲイ展示の見直しを訴える坪井さん(左)



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