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2011・8・6 折り鶴メッセージ

世界へ羽ばたけ 平和の祈り


広島に原爆が投下されて66年となる8月6日、平和記念式典が行われた平和記念公園(広島市中区)で、209人に「平和」に関するアンケート取材をしました。小学1年の男の子から、大阪から来ていた86歳の男性まで、日本人だけでなく、米国や韓国、フランス、デンマークなど15カ国の人にも答えてもらいました。

福島第1原発の事故を受けた、原発が必要かどうかの質問には、「いいえ」が62・2%と、「はい」の31・1%を大きく上回りました。

また、取材に答えてもらった人に、ジュニアライターが作った千羽鶴にメッセージを書いてもらいました。鶴の色は、2年前の式典会場で「平和の色」をアンケートした際に最も多かった緑系。空に羽ばたく鶴をイメージしたオブジェに貼り、完成させました=写真。参加者とジュニアライターの共同制作です。核のない、平和な社会への思いが世界中の空に広がりますように。


Q 8月6日はあなたにとってどんな日ですか

広島に原爆が投下されたこの日、「家族の命日」「平和について考え、祈る日」に加え、「忘れてはならない、大切な日」といった回答が寄せられました。

「弟が7歳で亡くなった日」と答えたのは、広島市西区の主婦新田英子さん(74)。このほかに父母や妹、祖父母など原爆で家族が亡くなったという人もいました。

安佐南区の原小4年吉良明峰さん(10)は「世界が平和になるように、世界中の人が平和を祈る日」と回答。同区の大学生村上舞優さん(18)は「世界各地の、平和でない地域についてあらためて考える日」と記しています。

それぞれの暮らしや人生について思いを寄せる人もいました。「家族のきずなを再確認する日」「自分の行いや考え方について再確認し、これからの1年について考える日」などの声がありました。(高2・野中蓮)

Q 平和な世界になるために、あなたができることは何だと思いますか

原爆の恐ろしさや平和についていろんな人に伝えたい、という意見が多かったです。「周りの人を思いやって仲良くする」など身近なことから行動していこうとする回答も目立ちました。人種や国境を超えて世界の人と交流し、理解し合う重要性を訴える人もいました。

「被爆の実相を後世に伝えること」と答えたのは、兄弟が被爆死した広島市佐伯区の無職森谷勝太郎さん(80)。オーストラリアの教師ピーター・レベレンズさん(61)は「子どもたちにヒロシマのことや佐々木禎子さんの物語を勉強させている」と書いていました。

安佐北区のAICJ中1年佐々木香帆さん(13)は「自分の身近で起きるいじめを止める」と回答。スウェーデンの教師ヨーハン・シロンさん(20)は「民族や国籍に関係なく、他人を理解し尊敬すること」と強調していました。(高3・高田翔太郎)

Q 原子力発電は必要だと思いますか? その理由を教えてください

「はい」と答えた人は209人中65人(31・1%)、「いいえ」と答えた人が130人(62・2%)、その他は14人(6・7%)でした。いずれの回答とも理由に、原発の危険性と代替エネルギーの必要性を挙げているのが目立ちました。

「はい」では、代替エネルギーが見つかるまでは原子力の使用が必要、との意見が多かったです。広島市安佐南区の主婦高田恵子さん(51)は「他の電力でまかなえないので仕方ないから」と答えています。二酸化炭素が出ないなど原発の利点や、安全性の確保の必要性を前提にした声もありました。

「いいえ」の理由には、福島第1原発の事故を受け「田畑や牛、古里がなくなる」「食べ物が売れなくなる」などがありました。仙台市宮城野区から訪れた無職大津京さん(28)は「放射能によって多くの人々が惨めでつらい思いをしている」と記しています。放射性廃棄物の処理が難しい点や、別のエネルギーで発電しているオーストラリアなど海外の事例を紹介した人もいました。(高3・岩田皆子)

このページは、高3・岩田皆子、高田翔太郎、高2・畦池沙也加、熊谷香奈、野中蓮、高1・坂田弥優、井口優香、石本真里奈、田中壮卓、秋山順一、井上奏菜、城本ありさ、高橋寧々、中3・大林将也、市村優佳、寺西紗綾、吉本芽生、石井大智、中2・河野新大、井口雄司、高矢麗瑚が担当しました。
新潟県長岡市 ジュニアライター2人平和交流は こちら>>>