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■特集 被爆60周年プロジェクト「広島世界平和ミッション」
40年前の平和巡礼参加者・阿部静子さん '04/1/1

 米国人に親近感も

広島県海田町原爆被害者の会会長
阿部 静子さん
(76)=広島県海田町砂走

 壇上に赤ら顔の老人が立っていた。ハリー・トルーマン元大統領。「激しい言葉こそ浴びせなかったけど、みんな憎々しい思いでしたよ」。巡礼団は米ミズーリ州のトルーマン図書館で「原爆投下を指示した張本人」と面会した。

 トルーマン氏は「私はそれ(It)が再び起こってはならないと思う。なぜなら完全に不必要だったから」と語った。「それ」とは原爆を指すのか、それとも戦争か。一方的な会見のため、真意をただす機会さえもなかった。

 原爆は新婚間もない新妻の顔や腕にケロイドを残した。近所や親せきから冷たい仕打ちを受けた。夫がかばってはくれたが「ずっとうつむいて暮らしていた」。被爆者を集めて講話をする施設の関係者に勧められ、巡礼団に参加した。

 集会で原爆投下の正当性を振りかざす米国人がいる一方で、温かくホームステイを受け入れてくれる家族もいた。

 「人間らしい扱いを受けたのは、被爆以来初めてでした」。毎日食卓に並べてくれた好物のグリーンアスパラの味は今も忘れない。「この家族の上に再び原爆が落とされてはいけない」と、かつての敵国の人たちにも愛情が広がった。

 実父母、しゅうとめを送った二十年前から、病身を押して証言活動を続ける。「バーバラさんは物腰が柔らかいけれど、しんの強い人でした」。静かな情熱を受け継いだ。

【写真説明】「核抑止力を信じる心の硬い人たちの扉を開いてほしい


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