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■特集 中国編 戦争記念館を訪ねて
北京大教授 王曉秋氏に聞く '04/8/3

 教訓学び 互いの利益に

 中国政府が日本に執ように求める「歴史認識」について、北京大歴史学部の王曉秋教授(62)に尋ねた。教授は、中日関係史学会副会長も務め、北京大での第二陣メンバーによる被爆証言の場を受け入れた。

 ―中国政府が「正しい歴史認識」を強調するにつれ、日本では各種の世論調査でも「嫌中感」が広がっています。

 国、民族はそれぞれの歴史観や解釈があって当然。問題は、ほかの国と関係するときにどう認識するかだ。日本はたび重なる侵略を中国に加え、欧米も巻き込んだファシズム戦争を引き起こした。世界史的な視野からとらえるべきです。

 正しい歴史認識は二つの側面がある。何があったのかを明らかにし、客観的にみる。二つ目は今日的な意味です。過去に戻るのではなく、輝かしい未来をつくるために歴史を見つめることです。

 ―幼いころからの「愛国主義教育」の徹底は、一党支配の政治体制の強化と関係があるのでは。

 誤解だ。どのような国家を目指すべきか、全人民が自信と誇りを持ち、今と将来をよりよいものにするため教えている。

 ―教育基地でもある戦争記念館の展示は、若い世代に反日感情をかき立てていませんか。

 反日的な宣伝が目的ではない。五千年の歴史を持つ中華民族が受けた侵略の屈辱、苦難にどう立ち向かったのかを若者に覚えてもらいたい。広島には原爆の悲惨さを展示する記念館、欧米ではユダヤ人虐殺記念館があるように、どこでも苦難の歴史を重要視している。屈辱を知ることで人は発奮、向上すると中国の先人は言っています。

 ―日中戦争の帰結ではなく、核時代の始まりを告げる歴史として「原爆展」を中国で開くことは可能でしょうか。

 日清戦争(一八九四年)に始まる日本の侵略は、中華民族に多大な被害を与え、日本人民も犠牲となった。顕著な例が広島・長崎だと思う。もっとも、なぜ原爆が落とされたのかを認識し、原爆の被害を伝えるより、一歩進んで戦争を繰り返さないよう考えていくのが先決でしょう。

 ―中国の人たちは、日本がどう振る舞えば「正しい歴史認識」を持ったと思うのですか。

 多くの日本人民が平和を願っているのは知っています。問題は実権を握っている政治家たちの考え。侵略の事実を認めず、歴史の教訓を学ぼうとしない。首相の靖国神社参拝はその現れ。ああした振る舞いではアジア諸国から信用されません。

 日本は中国の隋、唐の時代から多くを学び、中国も近代化を成し遂げた日本から学んだ。長い友好の交流史がある。中日両国は、和すれば互いに利益を得てきた。先人も言ったように、歴史は最良の師です。私たちが歴史の教訓をいうのは、平和と友好に向けて互いの利益になると思うからです。

【写真説明】上海生まれ。1964年北京大を卒業。文化大革命さ中の70年から翌年は肉体労働に従事した。91年から教授。全国人民政治協商会議委員も務める。著書に「中日文化交流史話」など。


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